2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04890
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 範彦 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フィールド言語学 / 文法記述 / 対照言語学 / チベット=ビルマ諸語 / 東南アジア諸語 / 言語類型論 |
Research Abstract |
本年度の主な研究実績としては海外調査と学会発表、および論文投稿の3つがある。 本年度海外調査は2回(2003年7-9月、2004年1-2月)行った。両調査ともチノ語の文法記述のため、中国雲南省西雙版納州に赴き、単文を中心にチノ語話者に聞き取りを行った。特に使役構文・受動構文・アスペクトの問題を中心に調査した。また声調交替の問題を明らかにするため、動詞・形容詞の語彙を再調査した。さらに50歳代の話者の自然発話をMDに録音し、若い世代の話者とともに再構成する作業も行った。第二回調査ではチノ族の祭りであるトモク節も取材し、現地入りしている他の人類学者・言語学者とも交流した。これら2回の調査で今年度の目標であった名詞修飾構造や使役構文、助詞関連の概要が明らかとなった。とくに後置詞の名詞句に対する結合条件についてはより明確に考察でき、次年度の学会で発表する予定である。 2003年11月末にオーストラリア・メルボルン市で開かれた第36回国際シナ=チベット言語学会議に出席し、'Jino Tone Alternation'という題でチノ語の声調交替の問題を発表した。この会議におけるチベット=ビルマ系諸語研究の最近の動向について、本研究員の意見を踏まえた形で、『通信』(110号、東京外国語大学アジア・アフリカ研究所発行)に投稿している。 また「韻母からみたチノ語音韻史」という題で『京都大学言語学研究』第22号(2003年12月発行)に投稿している。これはチノ語の音節構造の中から、とくに主母音+末子音の歴史的変遷について論じたものである。これにより漢語・ダイ語との音韻面における言語接触が明らかとなり、文法面での言語接触を考察する契機となった。
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Research Products
(1 results)