2003 Fiscal Year Annual Research Report
科学と政治の社会学―科学技術の民主的管理をめざして―
Project/Area Number |
03J04891
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小島 剛 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC)
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Keywords | 科学技術社会学 / 民主主義 / 市民社会 / コンセンサス会議 / 原子力 / 遺伝子組み換え作物 |
Research Abstract |
本年度の実績としては『ソシオロジ』誌に「非専門家の科学への参加と科学政策の民主的議論-PUS(公衆の科学理解)とコンセンサス会議-」として発表することができた。これは特別研究員の任期の早いうちに業績として発表できたものであり、研究は計画以上の速さで進んでいると言える。本論では特別研究員の申請書類に記したように、専門家の一元的支配の中で行き詰まりを見せ、原発問題、遺伝子組み換え作物等をはじめとして多くの科学技術に対する不信を与える遠因ともなってきている科学技術を、非専門家による科学技術政策立案過程への参加によって民主的に制御しようという試みについて研究した。この論文の結論は今日の科学技術政策の立案過程は非民主的、閉鎖的に立案されており、十分に民主化されておらず、それを解決しようという「原子力政策円卓会議」や「コンセンサス会議」の試みも十分に多様な意見を反映させようとする事には失敗しているということである。 これを踏まえ、本年度には非専門家の意見・行動がどのようにして政策に反映されうるのか、また、科学技術の受益者であるはずの非専門家のニーズに、どのように科学技術の担い手である専門家が応えちれるのかについて考察を行った。これについて専門家の集団を「科学システム」、非専門家の集団を「市民社会」と位置づけ、理論的な基礎付けをおこなうことを目指してきた。これに来年度(H16年度)におこなう実地調査を加えて、来年度中に論文にまとめて発表したい。今年度中にはその準備が十分に進んでいるので来年度には大きな成果が期待できると考えている。
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Research Products
(1 results)