2004 Fiscal Year Annual Research Report
科学と政治の社会学-科学技術の民主的管理をめざして-
Project/Area Number |
03J04891
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小島 剛 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 科学 / 技術 / 公衆の科学理解(PUS) / 遺伝子組換え作物 / 核エネルギー / コミュニケーション / 環境問題 / NGO |
Research Abstract |
科学技術を民主的に管理するためにいかなる理念のもとにそれを実行していくか、そして、その具体的に実行する手段としてどのようなものが考えられうるか似ついて考察することが本年度の課題であったが、研究者はこれらの問題に対して明確に答えを出し、かつそれを一般書籍の一部として刊行することができた(実際の出版は翌年度)。 まず始めに、『叢書アレテイア第6巻ポスト近代における公共空間』に「科学技術社会学における応用公共圏論」を発表し、以下の2点について詳述した。1 PUS(Public Understanding of Science:公衆の科学理解)という近年欧米で盛んに研究されている、科学技術に対する公衆(素人)の態度を捉えなおす一群の研究について。これによって一見すると専門か任せにしておれば良いと思われがちな科学技術の分野において、公衆の広範な決定への参加が可能であるし、またそうすべきであることが示された。2 科学技術行政におけるこのような公衆の参加は萌芽的形態としてではあるが、核エネルギーをめぐる「原子力政策円卓会議」や遺伝子組換え作物をめぐる「遺伝子組換え作物をめぐるコンセンサス会議」として実行されている。ただしこれらの会議には問題が多く、これからクリアーしていかねばならない課題も多い。 次に『叢書アレテイア第7巻市民社会(仮題)』においては、科学技術NGOの活動、およびそれが置かれている厳しい状況について、実際に京都市に本部を置く、環境問題を中心に活動しているNGOに実際に籍を置きながらフィールドワークも交えて考察した。近年増大する科学技術の進歩の副作用としてのリスクに対処するためにもこのようなNGOの活躍は望ましいが、行政や大企業からの圧力に苦しめられることが多く、社会的課題も浮き彫りになっている。
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Research Products
(2 results)