2004 Fiscal Year Annual Research Report
当事者相互の「顔体験」の語りを通じた顔にアザがある人々に対する心理学的支援の試み
Project/Area Number |
03J04904
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 学 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 顔の変形 / リーシャルスキルトレーニング / 評価研究 |
Research Abstract |
研究対象である顔の変形(disfigurement)は、口唇口蓋裂、血管腫、小耳症などの先天性疾患と、顔面神経麻痺、熱傷、悪性腫瘍による外科的侵襲などの後天的変形がある。顔に変形を有することで心理学的な問題として今までに初対面の困難、友人関係の形成、維持、就業困難などの対人関係上の問題が指摘され、これに伴って自尊感情の極度の低下が指摘されている(Bull & Rumsey,1988など)日本には、顔の変形を有する人々が数十万人いると考えられているが、その困難は、心理学的に解明されておらず、当然彼らの社会復帰に向けての支援などの研究は、ほとんどみあたらなかった。そこで申請者は、より多くの人々を支援するために、15年度にイギリスチャリティChanging Facesにて在外研究を行い、18歳以降を対象とした日本人向けの、ソーシャルスキルトレーニングプログラム(Changing Faces Workshop for Japanese)を作成し、16年度に大学病院などでプログラムを実施して、評価研究を行った。このプログラムは、顔の変形に伴う苦痛の認知とソーシャルスキルの向上をはかる合計3日間の極めて実践的なプログラムであり、既にイギリスでは、十分に効果を上げており、今回日本での実施においても、対象となった人々の自尊感情の向上、本人が困難と感じる場面における対処スキルの向上などが示唆された。このことから、このプログラムは、顔に変形を有する人々の社会適応に一定の効果があることが示唆された。
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Research Products
(4 results)