2004 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における子どものジェンダーと「少年」・「少女」
Project/Area Number |
03J04935
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今田 絵里香 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 少年少女 / 男女別学化 / エス / 少年少女雑誌 / ジェンダー・アイデンティティ / メリトクラシー / 立身出世 / コミュニティ |
Research Abstract |
(1)明治の子ども投稿雑誌『穎才新誌』の分析をおこなった。全国初の子ども雑誌『穎才新誌』は、「少年」・「少女」というジェンダー・カデゴリーをタイトルに含みこむ少年少女雑誌が登場する前に生まれた雑誌である。したがって、この雑誌の分析をおこなうことで、「少年」・「少女」というジェンダー・カテゴリーの誕生のプロセスに迫ることができるのである。分析の結果は以下のとおりである。もともと「少年」は男子も女子も含みこむカテゴリーであった。そして男子と女子は、文明開化とメリトクラシーの徹底によって、同じ「少年」として学問による立身出世を目指す存在としてとらえられていた。ところが、中等普通教育の別学化が実施された1879年以降、徐々に「少女」が「少年」から分化していくことがわかった。それとともに、「少女」はそれのみで完結する特別な時代を生きる存在としてとらえられていくことがわかった。この結果は『教育学研究』に論文として掲載された。 (2)少女雑誌『少女の友』・『少女画報』で大流行した「エス」をテーマにした小説を分析し、女学生同士の親密な関係を示す「エス」という関係の全容を明らかにした。その結果、「エス」はこれまでの研究が指摘するように異性愛の前段階でも同性愛でもなく、当時の高等女学校のごく一般的にみられる親密な関係として人々にとらえられていることがわかった。 (3)戦間期、少女雑誌『少女の友』の読者たちが親密なコミュニティをつくっていたことがこれまでの研究で明らかになっている。報告者はさらに高齢になった読者たちが現在もなおそのコミュニティを維持しているのかどうか確認することにした。そのために愛読者の会を組織している人物への聞き取りをおこなった。その結果、現存もコミュニティが維持されていることが確認できた。
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Research Products
(1 results)