2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04998
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
千田 篤史 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | X線観測 / 銀河中心 / 超新星残骸 / ジェット / 宇宙線加速 / ブラックホール |
Research Abstract |
1.銀河中心領域からの新たな超新星残骸候補天体の発見 米国X線天文衛星チャンドラ、欧州X線天文衛星ニュートンを用いた観測により、銀河中心(GC)領域から新たな超新星残骸(SNR)候補G359.8-0.3を発見した。過去の野辺山電波望遠鏡の観測結果から、同領域に殻状電波構造の存在が報告されていたが、その起源は明らかではなかった。Si、S、Ar、Caの輝線構造を持つX線スペクトルは温度約1.6keVの熱的プラズマモデルでよく再現され、年齢数千-1万年のSNRに典型的なものである。GC領域には1keV以上から10keVにも及ぶ超高温プラズマが広く分布しているが、その起源は謎である。SNRはプラズマ生成源の最有力候補の一つであり、今回の発見は重要である。 2.銀河中心からのジェット状X線ノットの発見 チャンドラによるGC領域深観測のデータを解析し、一直線に並ぶ3つのジェット状ノット構造を検出した。詳細解析により、これらのノットは以下の特徴を持つことを明らかにした。 (1)チャンドラの空間分解能よりも有意に拡がっている(楕円形) (2)楕円の長軸方向はノットの並ぶ方向と一致している (3)ノットの並ぶ方向の延長線上には銀河中心がある (4)ノットのX線スペクトルは活動銀河核から噴き出すジェットに良く見られる非熱的放射である さらに、米国電波干渉計(VLA)を用いた電波観測データの解析からX線ノットの一部に対応天体が存在することを発見した。以上の観測的事実は、これらX線ノットの起源が銀河系中心から噴き出すジェットであることを示唆するものであり、銀河中心ブラックホール(射手座A^*)の過去の激しい活動性を示唆する画期的な発見である。また、ノットの示す非熱的X線スペクトルは、高エネルギー加速粒子の存在を示唆しており、銀河中心での宇宙線加速機構の解明をすすめる上でも極めて重要な発見である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Katsuji Koyama: "The ASCA and Chandra Observations of the Galactic Center"Chinese Journal of Astronomy and Astrophysics. (in press).
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[Publications] Atsushi Senda: "Discovery of New SNR Candidates in the Galactic Center Region with ASCA and Chandra"Astronomische Nachrichten. 324, S1. 151-155 (2003)
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[Publications] Hiroshi Murakami: "Reflected X-ray Emissions on Giant Molecular Clouds-Evidence of the Past Activities of Sgr A^*"Astronomische Nachrichten. 324, S1. 125-131 (2003)