2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04998
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
千田 篤史 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | X線観測 / 宇宙線加速 / 銀河中心 / ブラックホール / ジェット |
Research Abstract |
米国X線天文衛星Chandraを用いた高空間分解観測、および欧州X線天文衛星XMM-Newtonを用いた高感度X線撮像分光観測により、銀河系中心領域から十数個の熱的・非熱的X線構造を発見した。熱的構造は比較的若い超新星の残骸の性質を示し、これらは、銀河中心領域約1°四方(約500光年四方)の広範囲に分布する大規模高温プラズマの生成源と考えられる。一方、非熱的X線構造(ノット)は銀河中心核から約100光年以内の領域に局在する傾向がみられた。このうちの特に3個は、銀河中心核ブラックホール(射手座A*)の位置から北北西方向へ伸びる一直線上に並んで分布し、また、各楕円体の長軸方向も直線の伸びる方向にほぼ一致していた。 他に発見した5個のノットも、ほぼ同一空間スケール(0.2-0.5pc)の非常に小さな楕円体の形状を備えていた。各ノットのX線スペクトルはいずれも冪型関数で極めて良く再現され、その傾きは活動銀河核ジェットで観測されている典型的値にほぼ一致する。さらに、各ノットの示すスペクトルの冪は、銀河中心核から離れるに従って、steepになる傾向を示した。以上の観測事実は、全ての非熱的X線ノットの生成起源は単一である、つまり中心核ブラックホールから断続的に噴出したジェットであることを示唆する。ノットのX線放射が高エネルギー粒子と磁場の相互作用によるシンクロトロン起源である場合、銀河中心近傍の強磁場(B〜1mG)環境下では冷却のタイムスケールは約10年程度と極めて短い。つまり、観測されたX線ノット構造が定常的に存在するためには、何らかの恒常的エネルギー供給源が不可欠である。つまりこれら非熱的X線ノットは、射手座A*からの初めてのジェットの存在を示すものであると同時に、銀河中心領域に何らかの宇宙線加速源が存在していることを示唆するものである。
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Research Products
(1 results)