2004 Fiscal Year Annual Research Report
高速分光観測による降着円盤の可視化、及び円盤モデルの検証
Project/Area Number |
03J05011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石岡 涼子 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 降着円盤 / 突発現象 / 激変星 |
Research Abstract |
激変星とは、主星である白色矯星とロッシュローブを満たした晩期型主系列星からなる近接連星系である。激変星の中でも矯新星と分類される系は白色矯星の周りに降着円盤を形成し、降着円盤に起因した変動現象を示すが、以下の点から、降着円盤を可視光で観測するのに最適な天体である。第一に、増光時に円盤の明るさが卓越するため、降着円盤の変動が顕著に現れる。第二に、増光時の降着円盤の温度は1万度程度で、可視光の領域で明るい。第三に、変動現象の典型的なタイムスケールが数時間から数ヵ月と観測が比較的容易である。初年度に引き続きすばる望遠鏡を用いた食のある矮新星IP Pegの時間分解分光観測データの解析を行い、食中の輝線プロファイルは軸対称な円盤モデルでは説明がつかない変化を示すこと、8m級の望遠鏡により降着円盤の可視化による速度分布の観測的検証が可能なことを論文として発表した。 また、初年度からの継続的な激変星のモニター観測により、白色矯星が弱い磁場を持つ中間ポーラー(IP)における増光現象の時間分解測光観測に成功した。中間ポーラーの増光は突発的に起きる短時間の現象で観測が難しく、これまで詳細が不明で増光メカニズムも伴星由来とするモデルと降着円盤不安定性モデルが対立していたが、増光中の光度曲線の解析から、円盤の外縁から発生した降着円盤不安定性により説明できることを示し、矮新星との連続性を明らかにした。この結果は、フランスで行われた激変星に関する国際会議で発表した。
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Research Products
(4 results)