2004 Fiscal Year Annual Research Report
動的破壊時の断層の力学挙動・摩擦発熱・変形組織・流体移動特性に関する実験的研究
Project/Area Number |
03J05022
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
溝口 一生 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 断層ガウジ / 高速摩擦 / 浸透率 / 摩擦発熱 / 室内実験 |
Research Abstract |
地震時の高速大変位下の断層内部では,急激な摩擦熱が発生すると考えられる.実際シュードタキライトなど断層沿いには摩擦発熱の証拠が見られる場合のあることから,断層の力学的性質に与える摩擦発熱の影響は長く注目されてきた.しかし摩擦発熱に関する系統的な研究は少ないため,本研究では摩擦発熱に関連した以下の3課題の研究を行なった. (1)去年度においてガウジの高速摩擦実験を行ない,断層の強度が高速すべり時に大きな低下を示すことを明らかにした.その後に同変位量の低速実験では,摩擦係数の低下が見られないことから,強度低下とガウジの摩擦発熱との関係が示唆された.数値計算と,熱電対の実測値から推定したガウジ内の温度はおよそ400℃となり,岩石の摩擦熔融がガウジの強度低下を引き起こしているのではないことがわかった. (2)野島断層は非常に低い浸透率を示す断層ガウジ(10^<-20>〜10^<-18>m^2)と高い浸透率を示す断層角礫及び破砕母岩(10^<-17>〜10^<-14>m^2)によって特徴づけられることがわかり,その測定値を用いて,摩擦発熱による間隙圧上昇[Thermal pressurization]の断層強度変動解析を行った.その結果,急激な断層の強度低下が,地震学的に決められたDcに近いすべり量で起こることがわかった. (3)Thermal pressurizationと断層ガウジの高速すべり軟化,どちらの機構が断層の強度低下に強く影響を及ぼすかについて考察するために,ガウジのすべり弱化特性をThermal pressurizationの解析に組み込んだ.その結果,浸透率が10^<-18>m^2以下になると,すべり摩擦特性の影響は少なく,Thermal pressurizationが有効に働くことがわかった.また浸透率が10^<-16>m^2以上になると,両方の機構が断層の強度に影響を与えるようになった.
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