2003 Fiscal Year Annual Research Report
ガラス内部の微小領域におけるフェムト秒レーザー誘起構造変化のメカニズムの研究
Project/Area Number |
03J05141
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂倉 政明 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ガラス / フェムト秒レーザー / 過渡レンズ法 / 導波路 / 位相回復 / 熱歪み緩和 / 屈折率 |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまでにメカニズムが明らかにされていない、ガラス内部でのフェムト秒レーザー誘起屈折率上昇のプロセスを時間分解で観測することである。平成15年度の目的は、レーザー照射部分の温度、密度の空間分布変化の履歴を明らかにするために、(1)屈折率変化を観測可能な過渡レンズ法を改良し、光照射後ピコ秒の時間領域での屈折率の二次元分布変化の観測法と解析法を確立する、(2)様々な材質のガラスに対して測定を行うことで、現象に関わる力学的性質を明らかにする、の二点であった。 (1)に関しては、過渡レンズ信号強度の二次元分布変化をCCDカメラで観測する光学系を構築し、位相回復法に基づく解析アルゴリズムを構築、プログラムを作成し、二次元屈折率変化の時間変化の解析を行った。二次元信号解析は、結果として得られる屈折率分布が初期値と収束条件に大きく依存するという問題があり、時間変化を統一的に説明する結果が得られなかったが、同時に弾性理論に基づく数値計算によって、レーザー照射後の密度変化の予測を行うことで、その問題を解決することに成功した。これにより、ガラス内部にフェムト秒レーザーを集光照射した後に発生する1マイクロメートルの幅を持つ微小な孤立弾性波を世界で初めて観測するという結果が得られた。この結果は高温高圧状態が構造変化を引き起こすという多くの研究者の予想を支持するものであり、非常にインパクトの強いものである。 また、(2)に関しては、5種類のガラスの測定を行い、信号強度が熱膨張係数に依存し、信号強度の変化の周期がヤング率に依存することが明らかになり、(1)の結果を得た時の解釈を支持する結果が得られた。 今年度の研究は、初めて現象の本質を明らかにする結果をもたらし、屈折率変化のメカニズム解明に大きな突破口を開くものと確信する。
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Research Products
(1 results)