2003 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合による活性化とキラルな相間移動触媒を利用した水中不斉触媒反応の開発
Project/Area Number |
03J05147
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
沖野 友孝 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機触媒 / ウレア誘導体 / 水素結合 / 多機能型触媒 / ニトロ官能基 / 不斉反応 |
Research Abstract |
これまでに求電子剤を活性化する有機触媒としてウレア誘導体が知られている。ウレアやチオウレアの二つの水素原子はヘテロ原子の孤立電子対と水素結合を起こすことで酸触媒として機能すること期待できるが、報告例は少ない。そこで私は、チオウレアと水素結合を起こしやすいと考えられるニトロンを基質に選択し種々反応を検討したところ、TMSCNやケテンシリルアセタールのニトロンへの求核付加反応がチオウレアにより顕著に促進されることを明らかにし、報告した。 チオウレアが酸触媒として機能することを明らかにしたが、その触媒能はそれほど強くない。そこで、チオウレア構造と求核剤を活性化する官能基を同一分子内に持ち合わせるならば、チオウレア構造で求電子剤を活性化するのと同時に別の官能基で求核剤を活性化できるのではないかと考えた。さらに両官能基を不斉骨格上に配置することで、求核剤と求電子剤の接近に対し空間的な制約を与え立体選択的に目的成績体を与えるのではないかと考え、チオウレア構造とアミノ基を持ち合わせる多機能型有機触媒を設計、合成した。この触媒がニトロオレフィンへのマロン酸ジエステルの不斉マイケル反応に於いて、高収率、高立体選択的に目的付加体を与えることを見い出し報告した。 私の設計した多機能型触媒がニトロ官能基を有する化合物を効率良く活性化することが明かとなったので、ニトロアルカンを求核剤として用いる反応を検討した。求電子剤としてイミンを用いたところ(Aza-Henry反応)、反応は円滑に進行し、目的成績体を良好な立体選択性で与えることを明らかにし報告した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tomotaka Okino, Yasutaka Hoashi, Yoshiji Takemoto: "Thiourea-catalyzed nucleophilic addition of TMSCN and ketene silyl acetals to nitrones and aldehydes"Tetrahedron Letters. 44. 2817-2821 (2003)
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[Publications] Tomotaka Okino, Yasutaka Hoashi, Yoshiji Takemoto: "Enantioselective Michael Reaction of Malonates to Nitroolefins Catalyzed by Bifunctional Organocatalysts"Journal of American Chemical Society. 125. 12672-12673 (2003)
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[Publications] Tomotaka Okino, Satoru Nakamura, Tomihiro Furukawa, Yoshiji Takemoto: "Enantioselective Aza-Henry Reaction Catalyzed by a Bifunctional Organocatalyst"Organic Letters. 6. 625-627 (2004)