2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J05164
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福岡 徳馬 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酵素触媒重合 / ポリフェノール / ペルオキシダーゼ / 鉄サレン錯体 / 酸化カップリング / ポリアミノ酸 |
Research Abstract |
酸化還元酵素の一種であるペルオキシダーゼやその金属モデル錯体を触媒として用い、酸化剤として過酸化水素を添加することで、フェノール基がC-Cカップリング、あるいはC-Oカップリングを介して直接連結した構造の新規フェノールポリマー「酵素法ポリフェノール」が得られることが知られている。このフェノール基の酸化カップリング法を利用し、一般的な化学合成法では合成困難である様々な新規高分子材料の合成、及びその合成戦略の開拓を目的として研究を進めてきた。 本研究では、本手法をフェノールモノマーの酸化重合に限らず、ポリマー中に存在するフェノール基の酸化カップリングへと拡張することを目的の中心に据え、フェノール基含有ポリマーをプレポリマーとして利用した「"polyfunctional macromolecules"の酸化カップリング重合法」による新規高分子合成という新たな概念を打ち出した。 具体的には、側鎖にフェノール基を有するポリアミノ酸の酸化カップリングを行い、反応条件と生成物の関係を系統的に検討するとともに、反応条件を選択することにより、ポリマー間で側鎖フェノール基が連結した特殊な構造を有する、分子量十万以上のポリアミノ酸がゲル化することなく得られることを示した。 また、種々の酵素法ポリフェノールについても本手法を適用し、フェノール誘導体の置換基の位置の違いが酸化カップリングの反応性に及ぼす影響について明らかにしたほか、反応条件を適当に設定することで、定量的にポリマー間での酸化カップリングを進行させることが可能であり、分子量百万以上の超高分子量体が得られることを示した。 さらに、上述のフェノール基含有ポリアミノ酸と酵素法ポリフェノールの酸化クロスカップリングを選択的に進行させることによって、フェノール基で連結した特殊な構造の新規ポリアミノ酸-ポリフェノールハイブリッドを合成した。本手法は、フェノール基を有する様々な化合物・ポリマーに対して、天然物質、合成品などその由来を問わず幅広く適用することができる。
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