2003 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ秒分割分光装置を用いた蛋白質の折り畳み機構の解明
Project/Area Number |
03J05176
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 哲就 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 蛋白質 / 折り畳み / フォールディング / モネリン / リボヌクレアーゼA / FTIR |
Research Abstract |
時分割CD測定装置を用いて、pH-jump(13.0→9.4)によって開始された一本鎖モネリン(SMN)の二次構造形成を追跡した。その結果、時定数8.5msと99msの二相性の指数関数で近似することができた。いまのところ、中間体に関する構造情報は得られていない。次に折り畳み初期段階の二次構造情報を得るために、時分割CDスペクトルを測定したが、スペクトルの形状からはどのような二次構造が折り畳み初期段階で形成しているかはわからなかった。そこで折り畳み初期段階の構造を得るために時分割FTIR測定装置を用いて同様の実験を行った。始状態であるpD13.0ではピーク位置が1644cm^<-1>であったのに対し、反応開始から100μsのピーク位置は1640cm^<-1>に変化しており、これは1638cm^<-1>にバンドを持つ揺らいだヘリックスの形成を意味しているものと考えられる。また、1670cm^<-1>付近のバンドも変性状態と比較して大きくなっており、この位置はターンに帰属されることから、ターンも形成しているものと考えられる。100μsにおける1670cm^<-1>の吸光度は、変性状態や天然状態と比較して大きくなっており、一旦多くのターンを形成することを示唆していると考えられる。次に、時間変化を追跡すると、ピーク位置が徐々に低波数シフトを示すことから、揺らいだヘリックスおよびβ-シート構造が時間の経過とともに増加していることを示唆している。また、変性状態のスペクトルと1.2msまでの時分割スペクトルは等吸収点を1646cm^<-1>に持っていることから、折り畳み初期段階の変化は二状態的に進み、なんらかの中間体が形成されるものと考えられる。このことから、折り畳み初期段階で大きな構造変化が起こっていると考えられる。また、SMNのX線小角散乱測定も行った結果、球状とは異なる構造を取っていることがわかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Uzawa, T., Akiyama, S., Kimura, T., Takahashi, S, Ishimori, K., Morishima, I., Fujisawa, T.: "Collapse and search dynamics of apomyoglobin folding revealed by submillisecond observations of α-helical content and compactness"Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 101・3. 6-6 (2004)
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[Publications] 西岡利勝, 寺前紀夫, 高橋聡, 木村哲就 (編): "実用分光法シリーズ 顕微赤外分光法「顕微赤外分光法と高速混合装置を使った蛋白質の折り畳み過程の研究」"(株)アイピーシー. 14 (2003)