2003 Fiscal Year Annual Research Report
精製SURを用いたK_<ATP>チャネル開閉制御の分子機構の解明
Project/Area Number |
03J05205
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 泰久 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ABC transporter / SUR1 / KATP channel / ATPase / MDR1 |
Research Abstract |
1.スルフォニルウレア受容体(SUR)はATP感受性K^+チャネル(K_<ATP>チャネル)の調節サブユニットとして機能し、ATPやADPの濃度に応じてチャネルを開閉させ、インスリン分泌や細胞の虚血耐性に深く関与する。SURはABCタンパク質ファミリーに属する膜タンパク質で、17回の膜貫通部分と2つのATP結合ドメインを持つ。K_<ATP>チャネルの開閉制御にSUR1のATP加水分解が必要であると予想されるが、これまでにSURのATP加水分解活性を測定した報告はなく、その詳細は不明である。本研究ではSURを昆虫細胞発現系によって大量に発現、精製し特異的なATP加水分解活性の測定を試みた。精製SURはATP加水分解活性を持つことが明らかとなったが、活性が低く、詳細な生化学的な解析を行うことができなかった。そこでヒトの薬物排出ポンプMDR1を指標にATP加水分解活性の高感度測定系の開発を行った。現在SURのATP加水分解測定系への応用を試みている。 2.MDR1は様々な脂溶性化合物を細胞内から細胞外へと輸送することで、細胞に薬剤耐性能を付与する。またMDR1は薬剤の肝臓や腎臓からの体外に排出、腸管からの吸収に関与するため、薬物の体内動態にも強く影響する。従って、薬剤がMDR1の基質になるかどうかを判定することは、より有効な投薬や新規薬剤開発において必須である。MDR1の基質輸送はATPの加水分解に依存するため、目的とする化合物が輸送基質であるかどうかを判断する上でATP加水分解活性は最もよい指標となる。現在使用される検出方法は、感度や検出時間等において充分とはいえない。本研究では活性測定に精製タンパク質を用い、二酸化チタンをヌクレオチドの分離媒体とすることで、短時間かつ高感度にMDR1特異的なATP加水分解活性を検出する方法を新規に開発しAnalytical Biochemistryに論文として発表した。またMDR1の機能に関する総説を発表した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yasuhisa Kimura: "Microanalysis for MDR1 ATPase by high-performance liquid chromatography with a titanium dioxide column"Analytical Biochemistry. Volume 326, Issue 2. 262-266 (2004)
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[Publications] Yasuhisa Kimura: "ATP hydrolysis-dependent multidrug efflux transporter : MDR1/P-glycoprotein"Curr Drug Metab. 1. 1-10 (2004)