2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト・マトリックスメタロプロテイナーゼ7(MMP7)の反応機構解析
Project/Area Number |
03J05214
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
牟田 祐子 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マトリックスメタロプロテイナーゼ / マトリライシン / 酵素反応速度論 / 活性解離基 / pH依存性 / 部位特異的変異導入 |
Research Abstract |
マトリックスメタロプロテイナーゼ7(MMP7)は非常に広いpH域で高い活性を示す。MMP7の触媒機構は未だ明らかになっていないが、酸性側の活性解離基は細菌由来の金属プロテイナーゼであるサーモライシン(TLN)との比較からGlu198、塩基性側はMMP中で保存されているTyr219と考えられてきた。本研究では、Tyr219を含め触媒亜鉛近傍に存在するTyr残基(Tyr216、Tyr193)を部位特異的に改変することで、MMP7の活性発現におけるTyr残基の役割を検討した。MMP7は高濃度のNaCl添加により活性化することが知られている。4 M NaCl存在下において野生型MMP7の活性が5.5倍活性化されたのに対して、変異体Y219F、Y216F、Y193Fはそれぞれ8.4、4.0、8.5倍活性化された。Tyr219とTyr193は疎水的な基質結合ポケットであるS1'部位に位置している。Y219F、Y193FのNaClによる活性化度の増大は、S1'部位と基質との疎水的相互作用に対するTyr219とTyr193の寄与を示唆している。またY219F、Y216F、Y193Fはいずれも高い活性を示し、pH依存性は野生型同様のベル型であった。しかし、Y219Fでは至適pHが狭まったため他のTyr219の変異体(Y219D、Y219A、Y219C、Y219S)についてもpH依存性を検討したところ、野生型と比較して酸性側のpK_aは1.0-1.2pHユニット塩基性側に、塩基性側のpK_aは0.4-1.1pHユニット酸性側にシフトした。この酸性側pK_a値はTLNのそれとよい一致を示し、非常に興味深い。以上の結果から、Tyr219、Tyr216、Tyr193は活性解離基として活性への直接の関与はないものの、Tyr219はMMP7活性の幅広いpH依存性を特徴付ける重要な残基であることが示された。
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Research Products
(4 results)