2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト・マトリックスメタロプロテイナーゼ7(MMP7)の反応機構解析
Project/Area Number |
03J05214
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
牟田 祐子 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マトリックスメタロプロチナーゼ / 酵素反応速度論 / 活性解離基 / 基質特異性 / 化学修飾 |
Research Abstract |
1.マトリックスメタロプロテイナーゼ7(MMP-7)の反応機構については、MMP中で保存され基質認識に深く関わるS1'部位に位置するTyr残基(Tyr219)の関与が従来指摘されている。今回ペプシンによる限定分解とエドマン分解法により、最も優先的にニトロ化されやすいTyr残基はTyr150であると同定した。これまでMMP-7のニトロ化によりえられた知見とTyr残基の位置関係から、Tyr219が直接活性を支配している可能性は低いと考えられた。またこの結果は、Tyr219を部位特異的にPheおよびAsp残基に変換した変異型MMP-7(Y219F, Y219D)が、pH75,25℃において野生型とほぼ等しい活性を有していることからも支持された。一方で、活性のpH依存性にこれらの変異が及ぼす影響を検討したところ、Y219F, Y219Dでは塩基性則の活性を支配する解離基のpKaが0.4-0.5pH酸性側にシフトした。以上のことから、Tyr219はMMP-7活性発現に直接の関与はないものの、フェノール性水酸基が活性を制御するうえで重要な役割を果たしている可能性が示唆された。 2.サーモライシン(TLN)およびMMP-7を含む多くの金属プロテイナーゼでは、基質認識において活性中心の疎水的なS1'部位の役割が重要である。近年TLNをはじめ数種の酵素において、脂肪族アルコールが疎水的な基質認識部位に結合することで阻害効果を発揮することが明らかとなった。今回脂肪族アルコールはMMP-7に対しても阻害効果をもつことが示され、阻害様式は全て拮抗型と判別された。また構造と阻害効果の相関性はS1'部位の基質特異性とよい一致を示すものであり、TLNと同様にアルコール分子はS1'部位に結合することでMMP-7に対して阻害と示すと考えられた。以上のことは、アルコール分子をプローブとしてMMPをはじめとする酵素の基質認識や阻害剤の探索に有用な知見をあたえる可能性を示唆している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Muta: "Inhibitory Effects of Alcohols on thermolysin Activity as Examined Using a Fluorescent Substrate"Journal of Biochemistry. 132. 945-951 (2002)
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[Publications] A.Tanaka: "Differential scanning Calorimetry of the Effects of Ca^<2+> on the Thermal Unfolding of Pseudomonas cepacia Lipase"Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry. 67(1). 207-210 (2003)