2004 Fiscal Year Annual Research Report
オルガネラ選択的薬物ターゲッティングを目指した新規細胞膜透過ペプチドの開発
Project/Area Number |
03J05224
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中瀬 生彦 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 塩基性キャリアペプチド / HIV-1 Tat / アルギニンペプチド / 細胞内導入 / マクロピノサイトーシス / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
細胞内へタンパク質や核酸、リポソーム等を導入する手法として、塩基性ペプチドを細胞内導入キャリアとして応用した例が数多く報告されている。代表的な塩基性ペプチドとして、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)-1Tat由来のペプチドや、8残基のアルギニンからなるペプチド(R8)等が知られている。本研究では、細胞固定を行わず生きたままの細胞を用いて、塩基性ペプチドの細胞内移行機序の詳細な検討を行い、ペプチドがどの様に細胞内へ取り込まれるのかに関して実験を行った。エンドサイトーシスの関与が示唆されたR8ペプチドの細胞内移行について、マクロピノサイトーシス阻害剤の5-(N-ethyl-N-isopropyl)amirolide(EIPA)を用いて検討した結果、細胞内移行量はEIPA処理によって31%の低下が認められた。マクロピノサイトーシスが生じるとき、細胞形質膜がアクチンの動きに伴い波打ち構造を呈することが報告されている。そこで、R8ペプチドを細胞に投与することによるアクチン骨格への影響を調べた結果、葉状仮足様の細胞形態変化が多くの細胞で観察された。以上の結果より、R8ペプチドがエンドサイトーシス経路以外に、マクロピノサイトーシス経路で細胞内に取り込まれ、またアクチン骨格へも影響を与えているといった新しい知見が得られた。次に、ミトコンドリアをターゲットとしてアポトーシスを誘導するペプチドpro-apoptotic domain(PAD)にR8ペプチドを導入することで、細胞内移行能とアポトーシス誘導能を併せもっペプチドを創製できないか検討した。蛍光ラベルしたペプチドをHeLa細胞に投与したところ、PADにR8ペプチドを架橋することで細胞内移行量が増大することが確認され、経時的に細胞核が凝縮し、ミトコンドリアからcytochrome cが細胞質に漏出することでアポトーシスが誘導されることが明らかとなった。これらの結果は、塩基性キャリアペプチドを用いたオルガネラターゲッティングへの応用・開発に向けた有用な知見になりうると考えられる。
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Research Products
(3 results)