2004 Fiscal Year Annual Research Report
視物質を中心とした視細胞の光応答特性発現機序の比較研究
Project/Area Number |
03J05267
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
桑山 成樹 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | G蛋白質共役型受容体 / ロドプシン / 錐体視物質 / 部位特異的変異体 / キメラ変異体 / 可視吸収分光法 / 昼間視 / 薄明視 |
Research Abstract |
我々は7回膜貫通型のG蛋白質共役型受容体である桿体及び錐体視物質の性質の違いに着目している。これまでの研究において、桿体および錐体視物質の違いがどのアミノ酸残基によって生じるかを検討した。その結果、189番目の残基が主に活性状態であるMeta-II中間体の崩壊速度の違いを生み出すのに重要であることが分かった。この結果をふまえ、新たにMeta-III中間体崩壊速度の錐体、桿体視物質での違いを制御するアミノ酸残基を検索した。最近の研究から、Meta-III中間体崩壊は視細胞応答の順応過程などに関わっていることが示唆されている。まず桿体視物質としてニワトリロドプシン、錐体視物質としてニワトリ緑を用いてMeta-III中間体崩壊速度の違いを検討したところ、ニワトリ緑のMeta-III崩壊速度はロドプシンに比べて約700倍速いことが分かった。次に、このMeta-III崩壊速度の違いを制御するアミノ酸残基について検討を行ったところ、ニワトリ緑ではMeta-II崩壊速度制御の場合と同様に189番目の残基のロドプシンタイプへの置換によりその性質が大きく転換することが分かった。しかしながら、ロドプシンでは189番目の残基、もしくは以前に機能性残基として報告されている122番目の残基をニワトリ緑タイプへ置換しても性質の転換は起こらなかった。このため、ロドプシンにおけるMeta-III崩壊速度の制御部位を探索するためにニワトリ緑とロドプシンからなるキメラ視物質を用いて解析を行ったところ、ロドプシンでは細胞外第2ループから第7ヘリックスに存在する複数の部位が協同してMeta-III崩壊速度を制御していることが示唆された。本研究の結果から、桿体視物質は錐体視物質から分岐した後更に複数の変異を獲得してその性質を強化していったという進化プロセスが強く示唆された。
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Research Products
(1 results)