2004 Fiscal Year Annual Research Report
偏光赤外分光法を用いたロドプシンの構造変化過程の原子レベルでの解析
Project/Area Number |
03J05268
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古谷 祐詞 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ロドプシン / 赤外分光法 / 膜タンパク質 / 生物物理学 / 水分子 / 水素結合 / タンパク質間相互作用 / 構造変化 |
Research Abstract |
ロドプシンは光受容後の構造変化により、情報伝達タンパク質との相互作用を変化させ、細胞内に光情報を伝達する。このようなタンパク質間の相互作用機構を明らかにすることを目的に、フォボロドプシンppRと情報伝達タンパク質pHtrIIとの相互作用を赤外分光法で解析した。その結果、pHtrIIとの結合が100倍程度弱くなるM中間体において、pHtrIIのAsn74側鎖のC=O伸縮振動が1693cm^<-1>から1684cm^<-1>へと低波数シフトすることが明らかになった。前年度の結果と併せて考察すると、K中間体の形成に伴って生じたタンパク質骨格の摂動およびThr204の水素結合強度の変化はM中間体の形成に伴って消失し、ppR-pHtrII間の相互作用変化はAsn74の水素結合強度を強くすると考えられる。M中間体形成時にpHtrIIとの結合が弱くなるという事実との整合性を考えると、Asn74の水素結合の相手はppRのTyr199から、Asn74の近傍に存在するpHtrIIのThr33などにスイッチする可能性が示唆される。もしくは、Asn74とTyr199の水素結合がM中間体でも維持され、その強度が強くなっているのであれば、他の部位、例えばppRのThr189とpHtrIIのSer62およびGlu43の水素結合もしくはppRとpHtrII間の疎水的な相互作用が弱まることが示唆される。また、pHtrIIに由来するタンパク質骨格の構造変化が認められなかったことから、ppR-pHtrII間の情報伝達機構は膜貫通ヘリックスの剛体的な運動を介していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)