2003 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系ニューロンの細胞極性を制御する分子機構の解析
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03J05270
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永楽 元次 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNER / Notch / 小脳 / バーグマングリア |
Research Abstract |
DNERは一回膜貫通型タンパク質で、細胞外領域に10個のEGFドメインをもつ。これらのEGFドメインがNotchやそのリガンドであるDeltaのEGFドメインと高い相同性示すことから、DNERがNotchシグナルに関与する可能性を考えた。これまでの我々の実験によってDNERの細胞外領域がNotchと相互作用することが示唆されていたが、その結合に必要な領域は不明であった。今回、我々は一連のDNER細胞外領域の欠損型変異分子を用いて、結合に必要な領域の同定を試みた。各変異タンパク質を精製し、pull down assayを行った結果、Notchとの結合に必要な特定のEGFドメインを同定することができた。次にDNERがNotchシグナルの活性を制御する機能を有しているかどうかを確認するために、内在性のNotchを発現している筋芽細胞C2C12を用いた。ルシフェラーゼアッセイによってNotch活性を定量した結果、DNERを強制発現させた細胞をC2C12と共培養した時に、コントロールと比べて約6倍程度のNotch活性の上昇が見られた。また、DNERの細胞外領域とIgG Fc領域の融合タンパク質を精製し、C2C12の培養液に加えた時も2倍程度のNotch活性の上昇が見られた。これらのことからDNERがNotchのリガンドとしての機能を有することが示された。次に、発生過程の中枢神経系におけるDNERとNotchの発現パターンを比較検討した。その結果、DNERは小脳プルキンエ細胞の樹上突起に強く発現しており、一方でNotchは小脳バーグマングリアで発現していた。プルキンエ細胞とバーグマングリアは、生後発達期において密接に相互作用し、分化や形態形成が相互に依存することが知られている。これらのことから、DNER/Notchシグナルがバーグマングリアの発生に関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kousuke Kawaji, Hiroki Umeshima, Mototsugu Eiraku, Tomoo Hirano, Mineko Kengaku: "Dual phases of migration of cerebellar granule cells guided by axonal and dendritic leading processes"Molecular and Cellular Neuroscience. Volume 25, issue 2. 228-240 (2004)