2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J05298
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
天羽 拓 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | SOD / カタラーゼ / 活性酸素 / 超好熱菌 / 始原菌 / 転写因子 / ストレス応答 / 酸素 |
Research Abstract |
スーパーオキシドを過酸化水素と酸素に不均化する反応を触媒するSOD(Superoxide dismutase)を好気条件下で培養した通性好気性超好熱菌Pyrobaculum calidifontisより精製、解析した。精製したSODは1,960U/mgの活性を示し、FeはなくMnのみを含んでいた。SOD遺伝子をクローニングし、大腸菌で発現させたところ、金属を含まないアポ酵素であった。ここでアポ酵素を金属塩存在下で熱処理することにより、活性な酵素を得ることができた。MnでもFeでもSOD活性を示し、Mn-SODがFe-SODよりも高い比活性を示した(それぞれ1,970U/mgと434U/mg)。興味深いことに両金属存在下でアポ酵素を熱処理すると、MnよりもFeの方が多く酵素に取り込まれた。また嫌気条件下で培養したP.calidifontisより精製したSODは主にFeを含有しており、細胞内においてもこのSODはMnとFeの両方を利用していることが明らかとなった。 さらに、好気および嫌気培養菌体におけるcatalaseとSODの発現レベルを調べた。両酵素活性は好気培養細胞でのみ認められた。またWestern blot解析でも同様の結果が得られた。さらに両遺伝子は好気培養細胞でのみ、それぞれ単独で活発に転写されていた。以上よりcatalaseおよびSOD遺伝子は構成的に発現しているのではなく、外的環境に応じて転写レベルで調節されていることが明らかとなった。また細胞を嫌気状態から酸素にさらした際、両酵素は素早く生合成されることが明らかとなった。 以上の結果は、酸素あるいは酸化ストレスに対するこの応答を引き起こす転写因子がP.calidifontisに存在することを強く示唆するものであった。そこでこれらの遺伝子の上流配列をプローブに用い、P.calidifontis細胞破砕液中のタンパクとの結合を調べた。その結果、catalase遺伝子の上流-56〜-28塩基の領域に転写因子と予想されるタンパク質が特異的に結合していることを明らかにした。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] 天羽拓, 跡見晴幸, 今中忠行: "Biochemical properties and regulated gene expression of the superoxide dismutase from the facultatively aerobic hyperthermophile, Pyrobaculum calidifontis"Journal of Bacteriology. 185(21). 6340-6347 (2003)