2004 Fiscal Year Annual Research Report
藻食魚クロソラスズメダイとそのなわばり内に純群落を形成する藻類との相利共生
Project/Area Number |
03J05343
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畑 啓生 京都大学, 大学院・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | クロソラスズメダイ / 栽培共生 / サンゴ礁 / イトグサ / 除藻 / 藻園 / 藻食性 / 集約的管理 |
Research Abstract |
サンゴ礁は最も生物多様性が高い生態系の一つとして知られており、多様な藻食性生物のかじり食によって、海藻群落の発達は著しく制限されている。しかし、サンゴ礁の中には多くの種のスズメダイ類がかじり食者からなわばりを防衛し、その中に糸状藻類の繁茂した藻類群落、すなわち藻園を維持している。 多くの藻園は様々な藻類が入り混じったものであるのに対し、私は今までの研究で、琉球列島のクロソラスズメダイの藻園は例外的に一種の藻類ハタケイトグサのみによって優占されており、クロソラスズメダイは藻食者からの防衛に加えて除藻を行っていることを発見した。 そこで、藻園の単作と混作の生態学的意義を明らかにするため、同所的に生息する同属のホシゾラスズメダイ(Stegastes obreptus)と、クロソラスズメダイとで、藻園の構造とその管理行動を比較した。その結果、ホシゾラスズメダイは除藻を伴なわない粗放的な管理によって広い混作藻園を維持しているのと対照的に、クロソラスズメダイは集約的な藻園管理によって、狭いながらも面積当たりの現存量が高い単作藻園を維持していることが明らかになった。 琉球列島における集中的な採集と分子実験によって、ハタケイトグサは藻園の外には全く見られず、クロソラスズメダイにその生存を強く依存していることがわかった。こうして、クロソラスズメダイとハタケイトグサとは、生息場所と餌資源とをそれぞれ提供して、その生存を支えあう栽培共生の関係にあることがわかった。
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Research Products
(1 results)