2003 Fiscal Year Annual Research Report
コンデンシン複合体が細胞周期を通じて正常な染色体を維持する分子機構の解明
Project/Area Number |
03J05348
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青野 信喜 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | コンデンシン / 染色体凝縮 / Cds1タンパク質 |
Research Abstract |
全ての生物種において、細胞周期M期に行われる染色体凝縮機構は正常な染色体の分配に必要であり、コンデンシンと呼ばれる複合体が必須な因子であることが分かっている。このコンデンシンのサブユニットであるCnd2タンパク質の変異株の解析の結果、Cnd2タンパク質はM期染色体凝縮のみならず、間期において、DNA損傷の修復機構やCds1キナーゼの活性化することで、複製阻害時に染色体を維持する機構に寄与していることが過去に示された。しかし、これがコンデンシンそのものの機能であるかは不明であった。今回別のコンデンシンサブユニットであるCut14の変異株が単離され、この株がcnd2変異株と同様に、複製阻害剤であるHUに感受性を示し、DNA損傷修復欠損の表現型を示すことが分かった。つまり、Cnd2に特異的なのではなく、コンデンシンとして間期機能を持つと考えられる。次にコンデンシンがどのような分子機構によって前述の間期機能を行うかを調べるため、特にコンデンシンとCds1の関係に着目し、引き続きcnd2変異株を用いた解析を行った。クロマチン分画法を用いてCds1タンパク質のクロマチン結合性を解析した結果、HUの存在下において、Cds1タンパク質はクロマチンとの結合性が増大すること、そしてこの結合性の増大はcnd2に依存的であることがわかった。また、Cds1の結合性が増大する領域を特定するために様々なクロマチン領域をプローブとしたPCR法による解析を行った結果、特定のARS領域との結合性が上昇した。また、マススペクトルを用いてHU依存的にコンデンシンと結合するタンパク質の存在を解析したところ、SPACUNK14.4と呼ばれる遺伝子産物が取得された。この遺伝子は未だ機能は解明されていないが、ヒトにおいて、チェックポイントや、DNA損傷応答機構に機能するMDC1タンパク質と相同性があり、他のチェックポイント、損傷修復因子に見られるBRCTと呼ばれるドメインを含むことからも、この遺伝子がコンデンシンの間期機能に関わる可能性が考えられる。
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