2003 Fiscal Year Annual Research Report
DNAマイクロアレイを用いた哺乳動物小胞体ストレス応答遺伝子の網羅的同定と解析
Project/Area Number |
03J05375
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡田 徹也 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 小胞体ストレス / DNAマイクロアレイ / 転写制御 |
Research Abstract |
本年度ではDNAマイクロアレイを用いて2万5000種のヒト遺伝子を対象とした解析を実施し、小胞体ストレスに応答して転写が誘導される約百種類のヒト遺伝子を同定した。小胞体シャペロン等に代表される既知の応答遺伝子もその中に含まれていたが、大部分の遺伝子は本研究により新たに小胞体ストレス応答遺伝子として同定されたものである。それぞれの遺伝子産物の機能は転写因子、トランスポーター、シグナル伝達因子など多種多様である一方で、機能が不明な遺伝子も多く見られた。そこで、機能未知の遺伝子の一つであるCGI-101に着目し、その転写制御機構ならびに機能について解析を行った。哺乳動物の小胞体ストレス応答はATF6経路、IRE1経路およびPERK経路の3つの転写誘導経路で構成されているが、CGI-101の転写誘導はIRE1経路に依存していた。また、CGI-101は膜蛋白質をコードしており、細胞内に発現させると小胞体に局在したことから、CGI-101が小胞体の機能保持に関与していることが強く示唆された。現在さらに詳しい機能解析を行うとともに、CGI-101のプロモーター配列を単離して転写制御機構についてもより詳細な解析を行っている。 また、本研究の最終目的は、小胞体ストレス応答を構成する3つの転写誘導経路の役割を明らかにし、哺乳動物小胞体ストレス応答の全貌を把握することにあるが、そのための第一歩として、ATF6経路の活性化を抑制する薬剤の探索に取り組み、セリンプロテアーゼ阻害剤4-(2-aminoethyl)benzenesulfonyl fluoride(AEBSF)にその効果があることを見い出した。AEBSFはATF6経路の標的遺伝子の誘導も抑制することから、小胞体ストレス応答におけるATF6経路の役割と意義を明らかにする上でこの知見は有用であると考えている。
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Research Products
(1 results)