2004 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-1の潜伏化と再活性化およびTaxによる細胞癌化の分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
03J05389
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江後 猛 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | HTLD-1 / Tax / MBD2 |
Research Abstract |
本研究において、成人T細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染により引き起こされる細胞癌化の分子メカニズムの解析を目的として、HTLV-1がコードするウイルス遺伝子のTaxの機能解析を行った。TaxはHTLV-1感染細胞の様々な細胞性の遺伝子発現を制御していることが知られているが、今回私はメチル化された遺伝子のプロモーターに対するTaxの転写調節機能についての解析を行った。まず始めに、私はTaxがメチル化されたHTLV-1 LTR(long terminal repeat)からの転写を活性化することを発見した。このメチル化LTRからの転写活性化はCREB非依存的に起こることを見い出した。またメチル化LTRからの転写活性化におけるメチル化DNA結合タンパク質の影響について検討を行った結果、methyl CpG binding domain 2(MBD2)とTaxの相互作用がメチル化LTRからの転写活性化に重要な役割を担っていることを発見した。またMBD2がTaxによるメチル化LTRからの転写活性化をさらに増強することを見い出した。さらにメチル化LTRからの転写活性化の詳細なメカニズムを解析した結果、TaxはMBD2との分子間相互作用によりメチル化LTR上にリクルートされ、メチル化LTR周辺のヒストンアセチル化が亢進することによりメチル化LTRからの転写が活性化されることを示唆する結果を得た。これはウイルスによる転写のエピジェネティック制御の撹乱が起こることを示唆しており、ウイルス感染による細胞の生理機能異常を解析する上で重要な知見である。
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Research Products
(1 results)