2003 Fiscal Year Annual Research Report
琵琶湖生態系の変動の鍵を握る動植物プランクトンに関する研究
Project/Area Number |
03J05410
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加 玲美 (槻木 玲美) 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 近過去 / 20世紀 / 動物プランクトン / Daphnia / 琵琶湖 / 植物プランクトン |
Research Abstract |
2003年度に、京都大学が実施している琵琶湖の定期観測サンプル1980年から2000年までの過去20年間分について、特に動物プランクトン群集の変動を定量的に解析した。その結果、近年の大型優占種Eodiaptomusは、過去20年間ほとんど変動が無いのに対し、同じく大型優占種であるDaphniaは、年によって大きく変動し、両種の出現パターンが大きく異なることが明らかになった。そこで、生態系の鍵を握る、現存量変化の激しいDaphniaの変動要因について、出現する季節性の変化、特に生活史を維持する上で重要な冬季の出現パターンに着目し、データ解析を行った。その結果、1980年頃よりそれまで越冬不可だった冬季にDaphniaが越冬可能になり、しかもその時期以降、越冬可能時期が数年連続して続く、という出現パターンに大きな変化が生じていることが判明した。さらに、興味深いことにその時期は、それまで大量に作っていたDaphniaが休眠卵を作らなくなった時期に一致していることも明らかになった。 今年度は、さらに過去100年の珪藻・緑藻の植物プランクトン群集の変動について、地球温暖化に関わる琵琶湖での冬季鉛直循環の強弱変化との関連を、気象情報などを加味した鉛直循環パラメーターを用いて詳細に検討した。そして植物プランクトン群集変化に影響を与えると考えられうる栄養塩、水温などの指標、特に、琵琶湖の代表的な固有種プランクトン動態と各種の環境要因の関係を単回帰あるいは重回帰分析を用いて検証し、その固有種の動態へ寄与する環境要因寄与率まで具体的に明らかにした。以上これまでの解析結果は、第68回大会の日本陸水学会にて発表し、植物プランクトン群集の変動解析結果についても、現在、取りまとめ中で近日中に、国際誌Limnology and Oceanographyに投稿する予定である。
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Research Products
(1 results)