2003 Fiscal Year Annual Research Report
人為的撹乱による景観構造の改変がハリナシバチ送粉系に与える影響
Project/Area Number |
03J05411
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鮫島 弘光 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 景観構造 / 送粉昆虫 / 人為的撹乱 / マイクロサテライトマーカーによるコロニーの特定 / 花粉分析 |
Research Abstract |
修士課程から継続して人為的撹乱による森林構造の改変がハリナシバチのコロニー数、ワーカー個体数、種構成に与える影響を調査し、論文としてまとめた。投稿・受理され現在印刷中である。 訪花社会性ハナバチの餌探索行動の空間構造を明らかにしていくにあたって、これまで調査してきたハリナシバチよりもオオミツバチの方が材料としてより適していることが分かったのでこれを用いることにした。ハリナシバチはマイクロサテライトマーカーがまだ開発されておらず、その開発に相当の費用と期間がかかることが予想されるが、オオミツバチは既に数百のマーカーがセイヨウミツバチにおいて開発されており、すぐに解析に入れる。また本研究では対象種の営巣場所が特定できることが重要なのだが、優れた現地協力者を得ることによってオオミツバチの営巣場所であればハリナシバチよりも効率的に探せることが分かったので本研究の目的を達するのにより優れていると判断した。 調査地域では数百のコロニーを発見し、その動態を調査した。それぞれのコロニーからワーカーを採集し、マイクロサテライトマーカーの解析を行った。マイクロサテライトマーカーはセイヨウミツバチ用マーカーのうち20近くがオオミツバチにも利用可能であることが分かったのでこれを用いた。調査地域の森林構造も調べ、開花フェノロジーセンサスも行った。開花樹木からは花粉用サンプルを集め、これまでLambir Hills国立公園で10年近く採集されてきたサンプルと一緒にプレパラートを作成し、簡便なものとはいえ東南アジア熱帯で初めての花粉Floraの作成を進めている。巣からは蜜、花粉を採集してあり、このFloraを利用して訪花植物の同定も行う予定である。以上の成果の一部は雑文としてまとめ日本熱帯生態学会ニューズレターに掲載され、また論文として執筆中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hiromitsu Samejima, Marfaizal Marzuki, Teruyoshi Nagamitsu, Tohru Nakasizuka: "The effects of human disturbance on a stingless bee community in a tropical rain forest"Biological Conservation. (印刷中).
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[Publications] 鮫島弘光: "ボルネオのオオミツバチApis dorsata F.と蜂蜜採集"日本熱帯生態学会ニューズレター. 50. 9-14 (2003)