2004 Fiscal Year Annual Research Report
人為的撹乱による景観構造の改変がハリナシバチ送粉系に与える影響
Project/Area Number |
03J05411
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鮫島 弘光 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 景観構造 / 送粉昆虫 / 人為的撹乱 / マイクロサテライトマーカーによるコロニーの特定 / 花粉分析 |
Research Abstract |
修士課程から継続して人為的撹乱による森林構造の改変がハリナシバチのコロニー数、ワーカー個体数、種構成に与える影響を調査し、論文としてまとめてBiological Conservation誌に発表した。 訪花社会性ハナバチの餌探索行動の空間構造を明らかにしていくにあたって、これまで調査してきたハリナシバチよりも、遺伝マーカーが豊富に開発されており、営巣場所を特定するための優れた現地協力者を得られたオオミツバチの方が材料としてより適していることが分かったのでこれを用いることにした。オオミツバチの営巣場所であればハリナシバチよりも効率的に探せることが分かったので本研究の目的を達するのにより優れていると判断した。 2年間の継続観察の結果、オオミツバチの営巣数は淡水湿地林と低地・丘陵フタバガキ林で交互に年2回のピークをもつことを発見し、DNA集団・親子解析から両植生間を年2回遊動していることを示唆した。特に淡水湿地林では毎回数十〜150コロニーの集団営巣が観察され、個体糞維持に重要な植生帯であると考えられた。さらに淡水湿地林の巣中貯蔵花粉・花蜜中の花粉粒の同定を進め、マテバシイ属、ヤシ科、イネ科などが主要な餌資源となっていることが明らかになった。これらの植物は雌雄異花で風媒ないし、多くの昆虫グループに訪花されるタイプの花をつけるので、オオミツバチに強く送粉を依存しているとは考えにくい。 このことからオオミツバチの個体群とその送粉系は資源の獲得・送粉をしている低地・丘陵フタバガキ混交林と主に資源の獲得をしている淡水湿地林という2つの植生による非対称的なランドスケープ構造を持っていることが明らかになった。 以上の成果の一部は雑文としてまとめ日本熱帯生態学会ニューズレターに掲載された。
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Research Products
(2 results)