2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J05414
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横川 太一 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 微生物生態学 / 海洋生態系システム / 微生物ループ / 従属栄養性細菌群衆 / 細菌生産速度 / 系統学的分類群組成 |
Research Abstract |
海洋における細菌群集構成機構とその変動要因を明らかにするために自然環境およびメソコズム中での細菌群集動態を検証した。本研究ではターゲットとする系統学的分類群の増殖速度を測定するために、希釈培養法とFluorescence in situ hybridizationという分子生物学的手法を組み合わせた画期的な方法を用いた。 1)溶存有機物の質および濃度の変遷に伴う従属栄養性細菌群集の応答に関する研究 本実験は2003年5月12日から28日の期間、東京大学国際沿岸海洋研究センターにおいて行われた。従属栄養性細菌の基質供給源である植物プランクトンの増殖を意図的に起こすように栄養塩条件を調節したメソコズム実験を用いて、従属栄養性細菌群集組成および生産構造の時系列変化を2週間にわたり測定した。本実験の結果、溶存有機物および有機物凝集体の増加に伴って、細菌群集組成は遊泳性細菌から付着性細菌の優占へと遷移した事が確認された。さらに付着性細菌の全細菌生産に対する割合が遊泳性細菌のそれに比べて有意に高い値を示した。この結果は溶存有機物の質および量の遷移に対して分類群が独自に応答していることを示唆している。この研究結果は現在投稿準備中である。 2)西部北太平洋における従属栄養性細菌群集の主要系統群組成に関する研究:南北断面での細菌群集の遷移の検証(東京大学海洋研究所白鳳丸KT03-02次航海、2003年9月30日-10月17日) 西部北太平洋海域は亜寒帯域と亜熱帯域の移行域であるため、経度に沿って非常に大きな物理的、化学的な勾配が形成される。この環境勾配に沿って細菌生産量および群集組成は大きく遷移することが予想される。この調査で得られた試料は現在解析中である。
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