2004 Fiscal Year Annual Research Report
複数感覚様相に属する情報を統合した概念形成能力の比較心理学的・比較発達学的分析
Project/Area Number |
03J05437
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
足立 幾磨 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 比較認知科学 / 比較発達学 / マルチモーダル / 表象 |
Research Abstract |
本年度は、まず期待違反事象を用い、ニホンザル乳児・ウマを被験体とし、彼らが複数感覚様相からの情報を統合した概念を有しているのかを調べる実験を行った。二つの概念から音声および写真刺激を作成し、一致する、あるいは一致しない組み合わせを作成した。まず、ある音声を呈示し、その後その音声と一致する或いは一致しない顔写真が呈示した。もしも、被験体が呈示された音声を同定し、その概念表象を想起しているならば、異なる顔写真が呈示された際には期待違反が生じ注視時間が長くなると考えられる。この手法は、著者らがイヌを被験体として行った実験によりその有効性が確認されている。その結果、ニホンザル乳児(国際シンポジウムにて報告済み※1)・ウマ(来年度学会にて報告予定)が当該の概念を有していることが示された。しかし、注視時間には個体差があり、比較的被験体数を集めて実験を行わないと信頼性のあるデータが獲得できないという短所もある。そのため、新たに0遅延象徴見本合わせ課題を応用した手法を開発しリスザルを被験体に用いて実験を行った。この課題においては、まず0遅延象徴見本合わせ課題を用い、飼育者の写真刺激に対する弁別を被験体に訓練した。学習が形成した後にテストに移った。テスト中には訓練した試行のほかに、全体の30%程度テスト試行が含まれていた。テスト試行では、見本刺激が消え選択刺激が出るまでに、見本刺激に一致する或いは一致しない音声を呈示した。もし被験体がその音声を聞いた際にその人物を同定しその表象を想起するならば、その想起した表象が見本刺激の記憶に干渉を与え、彼らの成績を低下させると考えられる。実験の結果、見本刺激と音声が一致している時と比して、不一致時に彼らの成績は低下した。これはリスザルが複数感覚様相からの情報を統合した飼育者表象を有していることを示唆する。この結果は国際学会※2にて報告済みである。 ※1 The 2nd International Workshop for Young Psychologists on Evolution and Development of Cognition 2004 & The 3^<rd> HOPE International workshop "Comparative Cognitive Science : Recent topics of avian and primate species" ※2 The 2nd International Workshop for Young Psychologists on Evolution and Development of Cognition 2004, Annual International Conference On Comparative Cognition 2005, & The 3^<rd> HOPE International workshop "Comparative Cognitive Science : Recent topics of avian and primate species"
|