2004 Fiscal Year Annual Research Report
ラオス焼畑山村における土地・林野配分事業実施の意義と問題点に関する研究
Project/Area Number |
03J05440
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中辻 享 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 焼畑 / ラオス / 土地利用 / 換金作物 / 市場経済化 / 生計活動 / カム族 / 東南アジア大陸部 |
Research Abstract |
平成16年度は前年度のフィールド調査で得たデータを分析し、論文の形として公表することに時間を費やした。4月から7月までは、ラオス北部、ルアンパバーン県シェンヌン郡における幹線道路沿いの一行政村、10番村で収集した陸稲焼畑、水田、ハトムギ畑、カジノキ畑(後二者は換金作物)のGPSによる測量データと各世帯の土地利用に関する聞取り調査データをもとに、1990年代以降の土地林野配分事業の実施と換金作物栽培の受容が村人の土地利用にどのように影響したかを考察した。この論考、「ラオス焼畑山村における換金作物栽培受容後の土地利用」は人文地理第56巻5号に掲載された。 さらに、9月から12月までは、GPSによる各耕地の面積測量データと各世帯の世帯経済に関する聞取り調査データをもとに、各世帯の生計戦略を明らかにした。10番村では、現在、焼畑以外にも、換金作物栽培、家畜飼育、森林産物採集、仲買などさまざまな仕事が営まれている。ところが、どの仕事を生業として選択するかは世帯によって異なる。この生業選択の世帯差とそれが生ずる要因を考察した。この論考「ラオス北部焼畑山村に見られる生計活動の世帯差」は現在、地理学評論に投稿中である。 これにより、ラオス北部の幹線道路沿いの一焼畑山村における土地利用と生計活動の実態が事例に基づき明らかにされたわけであるが、私は今後の研究で、これを幹線道路沿いから離れた山間僻地村落の事例と比較したいと考えている。そこで、1月と3月にはそのための文献調査を実施した。さらに、2月にはラオスに赴き、10番村で2004年の土地利用に関する追加調査を行ったほか、この村に近接する、今後の調査の対象村落をも訪問し、土地利用と生業構造に関する予備調査を行った。
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Research Products
(1 results)