2005 Fiscal Year Annual Research Report
視覚対象の認知過程における頭頂葉の役割-行為表出との関連から
Project/Area Number |
03J05460
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小早川 睦貴 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 行為表出 / 物体認知 / 失行症 |
Research Abstract |
本研究の目的は,頭頂葉の持つ視覚認知機能について,行為表出との関連から,その情報処理のメカニズムを探ることであった.前年度における検討の継続として,行為表出と視覚認知機能の両方に関する検査目的で,実験心理学において用いられていたパラダイムを利用した課題を施行した.これまでに得られている結果から,頭頂葉損傷において行為対象の認識に異常がある可能性が示唆されたが,それが損傷の影響によるのか,それとも生じた障害による影響なのかということについては明らかでなかった.そこで,本年度の検討では頭頂葉損傷の中でも,行為障害を呈している例,および行為障害を呈していない例における検討を行うことで,今までの結果の妥当性について検討した.結果として,行為障害例において,視覚提示された行為対象に対する運動の準備反応の活性化に問題がみられた.しかし,行為障害を伴わない例では,健常者と同様,運動の準備が適切に行われていた.異常の結果から,行為障害例において,視覚的に提示された対象を使用するための,準備段階における障害が示唆された.この障害は,視覚対象に関する情報のうち,行為に関連する感覚運動情報の引き出しと関連すると考えられた.なお,上記のすべての研究中における課題は協力者(患者)の同意のもと行い,疲労や体調などに十分配慮した上で遂行した.また成果の公表にあたっても,課題への協力と同様に同意を得るとともに,文中,発表中への記載はイニシャルを用いるなど,患者のプライバシーが侵害されることが決して無いように配慮した.
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Research Products
(1 results)