2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミャンマー軍事政権の存立基盤:地方政治構造の変容と一党独裁体制の成立
Project/Area Number |
03J05466
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中西 嘉宏 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミャンマー(ビルマ) / 政軍関係 / 軍事政権 / イデオロギー / 社会主義 / ビルマ式社会主義 / 東南アジア政治 / 国家再編 |
Research Abstract |
本年度の主要な研究業績は書評「Mary Callahan, Making Enemies ; War and State Building in Burma」である。『東南アジア研究』42巻2号(2004年8月)に掲載された。本年度の研究業績が少なかったのは、執筆、研究発表よりもフィールドワークに重点を置いたためである。2004年4月15日よりミャンマーの首都ヤンゴンに入り、博士論文のための本格的な調査を開始した。5月から7月までは、国立文書館、大学歴史研究所、国軍博物館の3ヶ所で資料調査を行った。このうち、大学歴史研究所に所蔵された一次資料数点と、90年代初頭に録音された国家指導者へのインタビューの発見は報告者の博士論文にとって重要なものとなるであろう。8月からは国軍博物館においての資料調査が中心となった。この調査では62年3月2日のクーデター以降の軍関係資料を年代順に読んでいった。特に1972年から1987年までの辞令集は軍内人事を分析するのに不可欠な資料であり、博士論文の核になると思われる。こうした資料調査の合間にインタビューも行った。知り合いを介して11月から国民統一党(1964年から1988年までビルマでの唯一の合法政党であったビルマ社会主義計画党の後継政党)への出入りをはじめ、週1回2,3人の元党幹部へインタビューを行った。こうしたインタビューにより、資料には現れない政治の実態を調査した。主要な成果としては、社会主義期ビルマ(1962-1988)のイデオロギーである『人と環境の相互作用の原理』を執筆したウ・チ・フライン氏へのインタビューである。氏が自らの思想をつくりあげ、それが国家イデオロギーとして採用されるまでの経緯を聞いた。概して充実したフィールド調査であった。来年度の博士論文執筆のために必要なデータはほぼそろったと言ってよい。
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Research Products
(1 results)