2004 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンザルにおける音声応答の成立要因:ヒト音声言語との比較研究
Project/Area Number |
03J05472
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
香田 啓貴 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニホンザル / 音声 / 柔軟性 / テナガザル / 環境 |
Research Abstract |
本年度は以下のことを行った。 1)ニホンザルにおける発声の柔軟性に関する研究 野生ニホンザルの音声交換における、発声の柔軟性について分析した。分析された結果、ニホンザルの音声は状況に応じて音声の質的な要素が変化しうることが示唆された。これは従来の知見とは異なるもので、論文としてまとめBehaviour誌に掲載された。 2)ニホンザルにおける音声の発声頻度に関する調査 霊長類において生息環境の物理的な環境特性の違い(例えば音響伝播効率)がサルの音声の「音質」に影響を与えることが知られているが、声の「量」に影響を与えるかどうかを検討した研究はない。生息環境の物理的特性が異なる(とくに視界環境)2地域の野生ニホンザル群を対象に、コンタクトコールの発声頻度を計測し比較検討した。予測どおり視界の悪い環境ではニホンザルの発声頻度が高く、地域差の存在を明らかにした。さらにその地域差はオトナ個体のみで見られコドモ個体では見られなかった。この結果から、ニホンザルのコンタクトコールの発声頻度とその発達的変化は環境の影響を受けることが示唆された(Animal Behaviourに投稿中)。 3)霊長類の音声の柔軟性に関する総合調査 ニホンザルで音声の柔軟性が質的にも量的にも確認されたことをうけ、より複雑な音声レパートリーを持つ野生アジルテナガザルを対象に音声の録音を行い、その変異性について検討した。とくに、複数の地域から音声を収集し音声を比較したところ、テナガザル音声にははっきりとした個体性があること、また地域性があることが示唆された(投稿準備中)。
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Research Products
(1 results)