2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J05475
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森下 明子 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | インドネシア / 地域研究 / 政治学 / 地方政治 / 政治エリート |
Research Abstract |
平成15年度はインドネシアでのフィールドワークを中心に、1998年に権威主義的・中央集権的であったスハルト体制(1967-1998)が崩壊し、現在民主化・地方分権化がすすむインドネシアにおいて、地方の政治が一体どのように変化したのかについて資料・文献・情報の収集を行なった。今回重点的に収集した資料・文献は、調査地のひとつである西カリマンタン州と中部カリマンタン州の地方政治および地方史に関する資料・文献、地方新聞報道記事、地方政治エリート(州知事、県知事、市長、議会議員)のプロフィールである。帰国後はこの2州について、スハルト政権以前、スハルト政権期、スハルト体制崩壊後までの地方政治の変容について分析をすすめた。 今回の調査で明らかになったことは、スハルト政権以前にこの地域の政治を担い、スハルト政権下では政治的にマージナライズされていた西・中部カリマンタンの地元住民ダヤックが、スハルト体制崩壊後、地方首長(州知事、県知事、市長)や地方議会議員として再びこの地域の政治を担うようになったことである。現在、西カリマンタンでは9県/市中5県、中部カリマンタンでは全ての県/市においてダヤックが首長に選ばれ、また、西カリマンタンの議員の約半数、中部カリマンタンの議員の8割以上がダヤックによって占められている。これは、スハルト時代の対ダヤック政策や教育の拡充、1997年にこの地域で起きたダヤックとマドゥラ人移民による民族紛争、1999年以降の民主化・地方分権化による法改正・選挙制度改革などが強く影響していると考えられる。またダヤックの政治的復権の結果、現在西カリマンタンでは、スハルト体制下で地方官僚や議員としてこの地域の政治エリートの大半を占めていたムラユ(14世紀頃に入植し、この地域に小王国郡を形成)とダヤックの政争が先鋭化した。
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Research Products
(1 results)