2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J05482
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
入谷 寛 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子コホモロジー / 量子D加群 / 同変フレア理論 / トーリック多様体 / ミラー変換 / ミラー対称性 |
Research Abstract |
本年度は,トーリック多様体及びその中の完全交叉に対する量子コホモロジー,特に量子D加群について,フレア理論の観点から研究を進めた。 報告者は,修士論文において,トーリック多様体の同変フレアコホモロジーを定義し,接束の第1Chern類がnefである時,それがトーリック多様体の小量子D加群と同型になることを示した。まず,報告者はこの結果をトーリック多様体上にいくつかの直線束がある場合に一般化した。すなわち,直線束の和の切断から得られるトーリック内の完全交叉に対して同変フレアコホモロジーの定義を拡張し,さらに,接束の第1Chern類がnefである時,完全交叉の小量子D加群と同型であるという結果を得た。これらの結果については,数理解析研究所で6月に開かれた研究集会「Workshop on Quantum Cohomology」およびカナダのモントリオール大学で7月に開かれた集会「Workshop on algebraic structures on moduli spaces」で発表した。また,現在論文を投稿中である。 次に,第1Chern類がnefではない場合が問題として残ったが,この場合は小量子D加群のみを考えるのではなく,それを含む大量子D加群を考察する事によって問題を解決する事が出来た。具体的には,nefではない場合,同変フレアコホモロジーは必ずしも小量子D加群と同型ではないが,大量子D加群をそこから一意的に再構成できるということが分かった。ここで必要なD加群の底空間のパラメータの変数変換は,ミラー対称性の文脈でミラー変換と呼ばれるものの一般化になっている。これは,秦泉寺氏の提唱した「一般ミラー変換」の数学的説明になっていると考えられる。この結果については,京都大学で12月に開かれた集会「Floer theory and related topics」において発表した。また,現在論文を執筆中である。
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