2003 Fiscal Year Annual Research Report
スピンの量子非破壊測定によるスピンと光の非古典的状態の生成
Project/Area Number |
03J05492
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 誠 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子非破壊測定 / スクイジング / エンタングルメント / イッテルビウム / 光ポンピング / 量子雑音 |
Research Abstract |
実験の進展として項目1と項目2、理論の進展として項目3と項目4が挙げられる。 1.周波数幅の狭いパルス光の偏光ゆらぎを標準量子限界の精度で測定することができた。1パルスに含まれる光子数は、10の7乗個のオーダーまでである。光子数が大きいほど、光学機器(特に偏光子)の配置がシビアになり、標準量子限界での測定は難しくなった。 2.新たにイッテルビウムの原子ビーム装置を製作し、光ポンピングによってスピン偏極させ、ファラデー回転を測定することができた。磁気回転比が小さいため、期待通り、地磁気など外部磁場の影響が非常に小さいことが確認できた。ファラデー回転角は光の周波数依存性を持つため、半導体レーザーを用いると、光の周波数揺らぎの大きい帯域(0〜10kHzのオーダー)において、自発的な周波数変調分光(ノイズ分光)となることが分かった。 3.巨視的なエンタングルメントを生成する方法を提案した。1つの原子集団を用いて、多数個の光子を含む2つの光パルスをファラデー回転させると、2つの光パルスと1つの原子集団の間にエンタングルメント(量子もつれ合い)が生じる。また、原子スピンの状態を観測により量子抹消すれば、2つの光パルスのみのエンタングルメントになるが、従来の数光子のエンタングルメントよりはるかに巨視的である。 4.スピンスクイジングの新しい手法を提案した。ファラデー回転した光を円偏光に変換し、仮想磁場として再び原子集団にフィードバックする。従来のポストセレクション(状態抽出)によるスピンスクイジングは生成確率が低いが、これは生成確率100%である。 現在、項目2の改善として、スピンの量子雑音を明確に検出できるよう、より原子数の多い原子ビーム装置を用いた実験を準備中である。また、項目3、4については、投稿論文を準備中である。
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