2004 Fiscal Year Annual Research Report
スペクトル解析によるニュートリノ振動現象の直接検証と振動パラメータの精密測定
Project/Area Number |
03J05507
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷川 雅也 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニュートリノ振動 / フレーバー混合 |
Research Abstract |
本年度は、エネルギースペクトルの精密測定及びニュートリノ反応の詳細な研究を目的としてK2K実験前置検出器に昨年度導入した「全感知型シンチレータ飛跡検出器(SciBar)」で得られたニュートリノデータの解析を行なった。 解析の前に、KEK-T1ビームラインにおいてテスト実験を行い、シンチレータ中での粒子のエネルギー損失とシンチレーション光の発行量の関係(通常エネルギー損失に比例)を精密に測定して、その非線形効果を評価しモンテカルロシミュレーションの最適化を行った。この測定は飛跡の粒子同定に不可欠であり、これらを含めた検出器の基本性能等はすでに論文としてまとめ発表している(NIM A535 147-151)。 解析では、検出器固有の特性からくる誤差(系統誤差)を見積もり振動が起こっていない時の前置でのニュートリノビームのエネルギースペクトラムを測定した。この結果を基にしたニュートリノ振動解析の結果はすでに論文として発表されている。(PRL 94,081802)。 ニュートリノ反応の研究に関しては、近年運動量移行の小さい反応の反応断面積が理論予想よりも小さい事が観測され未解決であったが、私はSciBar検出器を用いて数あるニュートリノ反応の中でもコヒーレント単一メソン生成反応(ν+C→μ+π+C)がこの問題の主要な原因である事を証明し、実際に断面積を測定した。これは我々のエネルギー領域(〜1GeV)では世界初の測定結果であり、ニュートリノ反応に関する理論に対してのインパクトは大きいと考えられる。この結果は現在論文としてまとめており、まもなく公表する予定である。 また、日本物理学会及び大阪と拍で行われた国際研究会で上記の研究に関して、現状及び結果について報告した。
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