2004 Fiscal Year Annual Research Report
有限核におけるαクラスター凝縮状態の、変形、振動、回転を含めた構造の解明
Project/Area Number |
03J05511
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船木 靖郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 原子核構造 / αクラスター模型 / ボーズ・アインシュタイン凝縮 / α粒子凝縮 / ^<12>C / ^<16>O |
Research Abstract |
^<12>Cの第二0^+状態(励起エネルギー7.66MeV)が3つのα粒子が全て最低エネルギー軌道を占有した"ボーズ・アインシュタイン凝縮"状態であるということを我々は既に理論的に明らかにしている。また励起エネルギー9.9MeVの位置に、1.0MeVのα崩壊幅を持った第二2^+状態が最近観測された。この状態に対して、3α凝縮模型波動関数に解析接続法(ACCC)を適用した解析の結果、エネルギー、α崩壊幅共に実験値をよく再現することも既に示した。これらは昨年度までの研究結果であるが、解析接続法という手法の性格上、エネルギー、幅以外には、得られた励起共鳴状態を十分に解析できないという困難さが残っていた。今年度はこの困難を取り除き、共鳴状態の波動関数を近似的に確定する方法を見出した。それにより第二2^+状態を解析した結果、密度分布等、第二0^+状態に非常に似通っており、更に3つのα粒子のうち1つがD軌道にジャンプし、残り2つがS軌道を占有した構造を有していることが明らかになった。つまり第二2^+状態はボーズ凝縮状態である第二0^+状態のファミリーとして理解できることを示した。これらの結果は論文に纏めEuropean Physical Journal Aに現在投稿中である。 またごく最近^<16>Oにおいて、励起エネルギー13.5MeVの位置にα崩壊幅0.8MeVを持った0^+状態が観測された。4α凝縮模型波動関数を用いて以前に成された理論計算のエネルギー値から、この状態は4α凝縮状態の候補と考えられている。今年度、この状態に付いてR行列理論に基づいてα崩壊幅の計算を行い実験値をよく再現する結果を得た。これは最近観測された13.5MeVの0^+状態を4α凝縮状態と同定する我々の従来の主張を更に支持するものである。
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