2004 Fiscal Year Annual Research Report
ステレオ観測による高解像度TeVガンマ線画像を用いた超新星残骸の細密研究
Project/Area Number |
03J05517
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡部 至緒 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超新星残骸 / RCW86 / ステレオ解析 / CANGAROO-III / TeVガンマ線 |
Research Abstract |
今年度は5月、1月の2回、南オーストラリアにあるCANGAROO-III観測所に行き天体観測を行った。今年度は我々のプロジェクトの最終段階である4台の望遠鏡での観測が開始したので、この2回は4台の望遠鏡での観測となった。5月の観測では、揃ったばかりである4台それぞれの望遠鏡の宇宙線によるトリガレート、ミューオンバックグラウンドによるトリガレートの違いなども確認できた。 超新星残骸RCW86の解析については、昨年度取得したデータの解析を引き続き行った。昨年度の観測は当時新設されていた1台を含めた、2台の望遠鏡による観測であったが、そのうち2台目の望遠鏡のデータについての解析を主に行った。しかし、これまでの解析では有意なガンマ線信号は得られていない。この天体は銀河面近くに位置しており視野が全体的に明るいが、感度のよくなった新しい望遠鏡ではこの影響が強く、これによるノイズが落としきれていないことが考えられる。さらに、2台の望遠鏡の同時トリガのかかった「ステレオイベント」についての解析を、この新しい解析方法を考え、行った。このトリガモードを用いれば上記のようなノイズは除去できることになる。ところがこの2台はカメラの形状や視野の大きさを始め仕様が大きく異なり、大変扱いにくいことが分かった。また1台目の望遠鏡に引きずられてエネルギー閾値も高くなってしまう。そこで、現在では2台目と同様の仕様である望遠鏡がさらに2台追加され、性能の似た3台によるステレオ観測が開始しているので、今年度3月、来年度4月にもう一度観測することを決定し、共同研究者の了承を得た。
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