2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規軸不斉配位子としての軸不斉ビピリジンとそのジオキシドの設計と合成
Project/Area Number |
03J05565
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
喜名 朝人 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カルボニル化 / クロスカップリング反応 / パラジウム触媒 / ビナフチル / Heck反応 / ヨードニウム |
Research Abstract |
(1)研究目的 昨年まで行ってきた軸不斉ビピリジンとそのオキシドの設計と合成に関する研究を終え,本年は軸不斉化合物を与える不斉クロスカップリング反応の開発に着手した.軸不斉化合物はBINAP,MOPをはじめ非常に有用な化合物を形成している.しかしながら2,2'位に異なる置換基をもつビナフチル骨格の合成は,これまでそれほど知られておらず,その新規合成法の開発を目的として,本年度の研究を行った. (2)研究成果 近年,当研究室においてニッケル触媒を用いたクロスカップリング反応により,ジナフトチオフェンの一方の炭素-硫黄結合を選択的に開裂する反応を報告した.この反応は生成物として2位に更なる官能基変換が可能なメルカプト基を形成しつつ2'位に置換基が導入された軸不斉2-メルカプト-1,1'-ビナフチルを生成物として与える.しかしながら,この反応は反応性の低い炭素-硫黄結合への酸化的付加を含むものであり,より多様な反応を触媒できるパラジウム触媒の利用を拒むものであった. そこで,ジナフトチオフェンのより反応性の高い類似体として,ビナフチル骨格を有するヨードニウム塩をこの不斉クロスカップリング反応の基質として利用することを計画した.パラジウム触媒によるHeck反応およびカルボニル化を行ったところ,良好な収率をもって2'位にアルケニル基あるいはメトキシカルボニル基を有する2-ヨード-1,1'-ビナフチルを与えることを見出した. カルボニル化の不斉化については,BINAPを不斉配位子として用いたところ,28%eeのエナンチオ選択性をもって38%収率の生成物を与えた.様々な不斉配位子を検討したが,満足のいく結果は得られなかった.
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Research Products
(1 results)