2003 Fiscal Year Annual Research Report
環状プソイドペプチドを範とするゲノム情報収斂型ユニバーサル創薬テンプレートの創製
Project/Area Number |
03J05575
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新居田 歩 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Peptide mimetics / Diketopiperazines / Organocopper / anti-S_N2' / hOT7T175 / Metastin / Metastasis / Pancreatic cancer |
Research Abstract |
本年度は、標題研究の一環として、ジケトピペラジンのアミド結合の一つをアルケンに置換した化合物、「ジケトピペラジンミメティクス」の立体選択的合成法の開発を行なった。その中でまず、キラルアミノ酸から誘導した、γ位に脱離基としてアセトキシ基を有するα,β-不飽和ラクタムを基質とし、有機銅試薬(Me_3CuLi_2・LiI・3LiBr)による還元反応を行った後に、求電子剤として種々のアルキルハライドを作用させると、位置選択的にアルキル化が進行し、目的化合物が良好な収率で得られる事を見い出した。しかし、立体選択性に改善の余地が残された。そこで、種々の脱離基について検討を行ったところ、脱離基をアセトキシ基からリン酸エステルに変換した化合物に対し、低次有機銅試薬を作用させると、位置及び立体選択的にanti-SN2'反応が進行し、高収率で目的化合物が得られる事を明らかにした。本法は、有機銅試薬を調製するために用いるアルキル化剤として、Mg試薬、Li試薬及びZn試薬が適用可能であることから、実用性の高い手法であると判断される。現在これらの成果について投稿準備中である。 一方で、癌転移への関与が示唆されているGPCR、"hOT7T175"を標的とする創薬研究にも取り組んだ。まず、hOT7T175の内因性アゴニストである54アミノ酸残基からなるペプチド「メタスチン」の低分子化を試み、メタスチンとほぼ同等のアゴニスト活性を有しかつ大幅に低分子化された化合物「FM052a」を見い出す事に成功した。また、FM052aが内因性hOT7T175発現膵癌細胞株Panc-1の移動能を顕著に抑制する事を明らかにした。今後は今年度得られた知見をもとに、ジケトピペラジンミメティクス骨格を利用した、癌転移抑制剤の創製研究へと展開する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Masui, T., Doi, R., Niida, A., Fujii, N., Imamura, M., et al.: "Metastin and its variant forms suppress migration of pancreatic cancer cells"Biochemical and Biophysical Research Communications. 315. 85-92 (2004)