2003 Fiscal Year Annual Research Report
色素増感太陽電池の内部抵抗要因の解析および高効率化
Project/Area Number |
03J05584
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
星川 豊久 京都大学, 大学院・工学研究科, 日本学術振興会特別研究員(DC1)
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Keywords | 色素増感太陽電池 / 交流インピーダンス法 / 内部抵抗 / 界面電荷移動 / 酸化チタン |
Research Abstract |
色素増感太陽電池の高効率化を図る上で、電池性能に影響を与える主たる内部抵抗成分を見出すことは重要である。本研究では交流インピーダンス法を用いて色素増感太陽電池に存在する各電荷移動に起因する抵抗成分を分離、測定しその電池性能への影響を調査した。 標準的な色素増感太陽電池に対してインピーダンス測定を行った結果、この電池にはオーミックな抵抗成分R_0と界面電荷移動に起因する円弧成分ω_1〜ω_4の少なくとも5種類の抵抗成分が存在することがわかった。導電性ガラス基板の異なる電池の測定からR_0は導電膜中の電子移動、ω_1は導電膜/TiO_2界面における電子移動に起因する成分と帰属した。ω_2は焼成温度の異なる電極を用いて実験を行った結果TiO_2粒子界面の電子移動に起因する成分に帰属した。また異なる状態の対極を用いた場合もこの周波数領域に変化が見られるため、対極/電解質界面の成分がこの部分に含まれている可能性がある。ω_3はTiO_2表面に吸着する色素量が増した場合や、電池に照射する光強度を増すなど、色素からTiO_2への注入電子量を増加させると縮小し、この時、電池から得られる光電流量は多くなった。一方で、電解質中のI_3^-濃度を低下することによりこの円弧は拡大し、光起電力、光電流ともに増加する傾向が見られた。これらの結果から、ω_3はTiO_2/電解質界面に起因し生じる円弧であり、この界面の最適化が重要であることがわかった。ω_4は電解質中のI_3^-の濃度が低下した場合や、電解質層の厚みが増した場合に円弧の拡大が見られたことから、電解質中のI_3^-の移動が関わる成分であることが考えられる。 このように、電池の構造や、測定条件の異なる色素増感太陽電池に対して交流インピーダンス測定を行うことにより、電池内に存在する界面電荷移動現象とそれに起因する内部抵抗を分離、帰属することができた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 星川豊久, 菊地隆司, 江口浩一: "交流インピーダンス法を用いた色素増感太陽電池の評価法の確立"セラミックス(Bull.Ceram.Soc.Japan). (印刷中).
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[Publications] 塵川豊久, 江口浩一: "色素増感太陽電池及び太陽電池の最前線と将来展望(第2章:色素増感太陽電池の作製と性能評価)"情報機構. 199 (2003)