2003 Fiscal Year Annual Research Report
新しい機能性共役系ポリマーの設計と特性に関する研究
Project/Area Number |
03J05591
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阪口 壽一 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポリアセチレン / アリール基 / 膜 / 脱シリル化 / 気体透過性 / 熱安定性 |
Research Abstract |
二置換アセチレンポリマー膜は高い気体透過性を示すことが知られており、分離膜材料として期待されている。本研究では、種々のアリール基を有する新規モノマーを合成し、それらの重合について検討した。さらに得られたポリマー膜の気体透過性などの性質について調べた。 1-[p-(トリメチルシリル)フェニル]-2-(2-フルオロ)アセチレン(1a)をTaCl_5触媒を用いて重合することにより良好な収率でポリマー2aが得られた。フェナントリル基またはビフェニル基含有モノマーからも収率良くポリマー(2b、2c)が得られた。一方、アントリル基を有するモノマー(1d)は重合が進行しなかった。ジアリールアセチレンの重合において、アリル基のかさ高さが重合に大きな影響を与えることが明らかとなった。 ポリマー2aおよび2bは一般の有機溶媒に完全に溶解したが、ポリマー2cはそれらの溶媒に対してほとんど溶解しなかった。ソルベントキャスト法により2aおよび2bから丈夫な自立膜を調整することができた。これらのポリマー膜をトリフルオロ酢酸で処理することにより、脱シリル化ポリマー3aおよび3b膜を調製することができ、これらはあらゆる溶媒に不溶であった。 得られたポリマーの空気中での分解開始温度はいずれも400℃以上であり、ポリ(ジアリールアセチレン)は優れた熱安定性を示すことがわかった。 2aおよび2b膜の酸素透過係数(PO_2)はそれぞれ1650、460barrerであり高い酸素透過性を有しており、3aおよび3b膜のPO_2は2150、1300barrerとさらに高い酸素透過性を示した。 本研究により、種々のアリール基を有する二置換アセチレンの重合を行い、立体構造が与える重合性について明らかになった。得られた脱シリル化ポリマー膜は高い酸素透過性を示し、優れた耐熱性、耐溶剤性を有することから分離膜材料として有用であると考えられる。
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Research Products
(1 results)