2004 Fiscal Year Annual Research Report
二重求核性を有する新規ホウ素反応剤による高効率合成反応の開発
Project/Area Number |
03J05598
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 暁彦 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シアノボラン / シアノホウ素化 / アルキン / 付加反応 / パラジウム / 分子間反応 |
Research Abstract |
分子間シアノホウ素化反応の開発 遷移金属触媒存在下、シアン化水素やシリルシアニド、アシルシアニド、スタニルシアニドをシアノ化剤として用いるシアノ化反応は炭素炭素三重結合にシアノ基と典型元素を導入する効率的な方法である。最近ではアルキンのアリールシアノ化反応が報告された。一方でシアノボランを用いるアルキンのシアノホウ素化反応はホウ素置換基の合成的利用価値を考えると他の反応シアノ化反応に比べ有用性が高いと考えられる。私は既にアルキンの分子内シアノホウ素化反応を開発し報告している。この反応は初めてホウ素-シアノ結合が遷移金属触媒によって活性化されるという知見が得られた点で意義深いものであるが一旦反応基質を合成、単離しなければならない点が大きな欠点となっていた。そこでより一般性の高い分子間反応の開発を行った。 分子間反応は用いるシアノボランを環状化合物にすることで達成することが出来た。具体的にはエチレンジアミンもしくはフェニレンジアミン由来のシアノボランとアルキンをパラジウム-トリメチルホスフィン存在下、ジオキサン中130度で加熱撹拌することでホウ素シアノ結合がアルキンに対してシス付加したβ-ポリル-α,β-不飽和ニトリルを良好な収率で得ることに成功した。対称アルキンを用いた場合、生成物は単一であった。しかし非対称アルキンを用いた場合には位置異性体が副生物として得られた。しかしこの問題は窒素上の置換基をかさ高くすることで解決でき、大幅に異性体の生成を抑えられた。 分子間シアノホウ素化反応を用いてスクアレン合成酵素阻害剤P-3622の形式合成に成功した。得られたシアノホウ素化生成物に対しパラジウム触媒鈴木-宮浦カップリング反応を施すことで容易に得られた。これは分子間シアノホウ素化反応の高い有用性を示している。
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Research Products
(2 results)