2005 Fiscal Year Annual Research Report
二重求核性を有する新規ホウ素反応剤による高効率合成反応の開発
Project/Area Number |
03J05598
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 暁彦 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ニッケル / アルキニルホウ素化 / トランスメタル化 / クロロボラン |
Research Abstract |
ホウ素-塩素結合活性化に基づくアルキンのトランスアルキニルホウ素化反応の開発 採用第1年度、2年度において発見、開発したパラジウムもしくはニッケル触媒を用いるアルキンのシアノホウ素化反応はホウ素部位と炭素骨格を同時に炭素-炭素多重結合に導入する、いわゆるカルボボレーション反応の中で炭素骨格がシアノ基である反応に分類できる。本年度は、炭素骨格にシアノ基以外の炭素骨格を導入することで多様性を与える反応の開発を目指した。 同一分子内にアルキン部位を有するクロロボラン(クロロボリルエーテル)およびアルキニルスズを基質として用い、ニッケル触媒存在下、トルエン中で加熱撹拌するとホウ素およびアルキニルスズ由来のアルキニル基が炭素-炭素三重結合に対し導入される反応が進行することを見いだした。この時、驚いたことにトランス付加生成物のみが得られ、対応する幾何異性体は全く確認されなかった。触媒系は2モル%のNi(cod)_2および8モル%のPPh_3が最も効率良く生成物を与えた。アルキニルスズとしてはフェニル基の置換したアルキニルスズだけでなく、アルキル基、シリル基を有するスズ化合物、更にアリルスズ、ビニルスズを用いることができた。また、クロロボリルエーテルのアルキン置換基はフェニル基、アルキル基、ビニル基が置換していても効率良く生成物を与えた。この反応の反応機構を解明するためにクロロボリルエーテルとニッケルとの当量反応を検討したところ、クロロボリルーテルのアルキンに対し、ホウ素とニッケルがトランスに位置した錯体を57%収率で与えた。この錯体は結晶性化合物であり、構造はX線結晶構造解析により決定することが出来た。また、この錯体とアルキニルスズとの反応により、アルキニルホウ素化生成物を与えた。これはニッケル錯体とアルキニルスズとのトランスメタル化、続いて炭素-炭素結合の還元的脱離が進行したことを示している。
|
Research Products
(2 results)