2004 Fiscal Year Annual Research Report
変異蛋白質を用いたナメクジウオロドプシンと多様な視物質との性質・機能の比較解析
Project/Area Number |
03J05631
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塚本 寿夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ロドプシン / レチナール |
Research Abstract |
ロドプシン類似の光受容蛋白質は、アミノ酸配列の相同性に基づき5種類のサブグループに分類できる。本研究は、ロドプシン類における活性化メカニズムの類似点、相違点をアミノ酸残基レベルで明らかにすることを目的とする。具体的には、脊椎動物の視物質とは異なるサブグループに属するナメクジウオロドプシンの機能発現メカニズムを、変異蛋白質を用いて解析し、よく研究されている脊椎動物の視物質の場合と比較した。 1.前年度までの研究において、ナメクジウオロドプシンの光産物(活性化状態)においてレチナールと2つの残基(Trp265,Ala269)が相互作用することが示唆された。これらの残基に極性、大きさを様々に変化させる変異を導入し、それぞれの変異体の暗状態・光産物の吸収スペクトルに対する影響を調べた。その結果、Trp265に変異を導入した場合は両者においてほぼ同程度の吸収スペクトル変化を、Ala269に変異を導入した場合は主に光産物において吸収スペクトル変化を示した。 2.Trp265、Ala269と同じくヘリックス6に位置し、レチナール近傍にあるアミノ酸残基について極性、大きさを変化させる変異を導入し、暗状態・光産物の吸収スペクトルに対する影響を調べた。その結果、Trp265より細胞質側にあるPhe261に変異を導入すると主に暗状態に、Trp265より細胞外側にあるTyr268に変異を導入すると主に光産物の吸収スペクトルが変化した。 1、2の結果からナメクジウオロドプシンの活性化過程において、レチナールとヘリックス6に位置するアミノ酸残基との相互作用が変化することを示唆された。脊椎動物の視物質においても活性化に伴いヘリックス6の配置が変化する報告があり、ロドプシン類の活性化にレチナールとヘリックス6との相互作用の変化が重要であることが示唆された。
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