2005 Fiscal Year Annual Research Report
変異蛋白質を用いたナメクジウオロドプシンと多様な視物質との性質・機能の比較解析
Project/Area Number |
03J05631
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塚本 寿夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ロドプシン / レチナール |
Research Abstract |
ロドプシン類似の光受容蛋自質は、アミノ酸配列の相同性に基づき5種類のサブグループに分類できる。本研究は、ロドプシン類における活性化機構の類似点と相違点を明らかにすることを目的とする。具体的には、脊椎動物の視物質とは異なるサブグループに属するナメクジウオロドプシンの機能発現機構を、変異蛋白質を用いて解析し、よく研究されている脊椎動物の視物質(ウシロドプシン)と比較した。前年度までの研究から、ナメクジウオロドプシンの6番目の膜貫通ヘリックスに存在するAla269残基に変異を導入すると、光産物(活性状態)の吸収スペクトルが大きく変化し、G蛋白質活性化能が低下することを見いだした。なぜAla269変異が光産物に大きく影響するのか明らかにすることはナメクジウオロドプシンの機能発現機構の理解につながると考え、以下の実験を行った。 1.Ala269変異の影響を小さくするAla269周辺の残基の変異を探索した。その結果5番目の膜貫通ヘリックスに存在するアミノ酸残基に変異を導入すると、Ala269変異の影響が小さくなった。一方、ウシロドプシンのAla269に変異を導入するとG蛋白質活性化能の低下は見られたが、光産物の吸収スペクトルへの影響はナメクジウオロドプシンの場合と異なった。 2.ウシロドプシンにおいては、活性状態への構造変化(構成的活性化)を誘起する変異が知られている。その中の代表的な変異をナメクジウオロドプシンのAla269変異体において対応する位置に導入した。その結果光産物の吸収スペクトルが野生型様に戻ることが示唆された。 以上の結果から、ナメクジウオロドプシンが活性状態を形成する上で5番目と6番目の膜貫通ヘリックスのAla269周辺領域が構造変化することを見いだした。ウシロドプシンにおいても同様の構造変化は重要であるが、ナメクジウオロドプシンとは相違点も存在する可能性を見いだした。
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Research Products
(2 results)