2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J05638
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 公一 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | GABA作動性ニューロン / 大脳新皮質 / 脳室下帯 / 前駆細胞 / GAD67 / 細胞系譜 / 大脳基底核原基 / 細胞移動 |
Research Abstract |
大脳皮質の神経回路の構成要素であるGABA作動性ニューロンは大脳基底核原基に由来し,胎仔期に細胞移動によって新皮質へ供給されることが知られるが、一方では発達期の視覚皮質の神経可塑性への関与が報告され注目を集めている。新皮質のGABA作動性ニューロンは大きく3群のサブタイプに分類できるとされるが,これらのサブタイプそれぞれの前駆細胞の実体や細胞系譜,皮質回路形成時におけるそれぞれの役割については詳しいことが分かっていない。 そこで平成15年度は,マウスの大脳新皮質のGABA作動性ニューロンの前駆細胞が、新皮質への細胞移動後にも増殖能を維持しているのかどうかを調べた。代表研究者らは,共同研究者が開発したGAD67-GFPノックインマウスの出生時に,大脳新皮質脳室下帯および中間帯においてGFP陽性のGABA作動性ニューロン前駆細胞の約1/4が増殖細胞マーカー陽性となり,それらが増殖性の前駆細胞であることを確かめた。さらに,Emx1-Creマウスと,GFPを発現するloxPアデノウイルスとを組み合わせることによって,大脳基底核原基に由来する細胞を選択的に標識する方法を開発した。これを用いて,増殖性のGABA作動性ニューロン前駆細胞の少なくとも一部が大脳基底核原基に由来するということを示す結果を得た。またGABA作動性ニューロンのサブタイプに特化した前駆細胞の存在を示唆する結果も得られている。一連の成果は皮質のGABA作動性ニューロンの細胞系譜に関して重要な知見であり,現在投稿準備中である。また、より厳密に皮質GABA作動性ニューロンの起源を論じるために、大脳基底核原基のうち内側大脳基底核原基に由来する細胞のみを選択的に標識するためのNkx2.1-Cre BACトランスジェニックマウスを作製中であり,そのDNAコンストラクションが終了している。
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