2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J05638
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 公一 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | GABA / グルタミン酸 / VGluT / 大脳新皮質 / 回路網形式 / 軸索終末 / シナプス小胞 / Nkx2.1 |
Research Abstract |
大脳皮質の神経回路の構成要素であるGABA作動性ニューロンは、発達期の視覚皮質の神経可塑性への関与が報告されて注目を集めており、3群のサブタイプに分類されているが,これらのサブタイプそれぞれの前駆細胞の実体や細胞系譜,皮質回路形成時におけるそれぞれの役割についてはよく分かっていない。平成17年度までにマウス大脳新皮質のGABA作動性ニューロン前駆細胞が新皮質への細胞移動後にも増殖能を維持していることを示す結果を得ており、現在この内容については論文投稿中である。この前駆細胞から生じたGABA作動性ニューロンのサブタイプがどのように回路に組み込まれて行くのかを考える上で、まず新皮質の神経回路の主要な構成要素である興奮性のグルタミン酸作動性神経回路の発達について無視することができない。そこで平成17年度は、小胞性グルタミン酸輸送体1(VGluT1)とVGluT2を特異的に認識する抗体を用いて、マウスの生後発達におけるVGluT免疫反応の発達変化を調べた。VGluTは、興奮性の神経伝達物質グルタミン酸をシナプス小胞へと取り込み濃縮させる機能分子であり、VGluTを認識する抗体は、グルタミン酸作動性ニューロン軸索終末のマーカーとして優れている。これを用いて、グルタミン酸作動性神経回路の生後発達に伴うVGluT免疫反応の増大と共に、発達期に一過性に見られるVGluT1とVGluT2の単一軸索終末における共存を視床皮質軸索終末で見出した。この現象は発達期の視床-大脳皮質シナプスでグルタミン酸の放出確率が逓増することと関係があるのではないかと考えている。以上の結果についてはすでにThe Journal of Comparative Neurology上に論文発表した。現在はこのVGluT1とVGluT2の共存を定量評価するための手法を開発中である。
|
Research Products
(2 results)